ページ42 第2章 場面ごとの配慮 この章では、様々な場面において、障害のある人に対して主に必要とされる配慮をまとめました。複数の障害に共通して求められる配慮もあり、また、個別の障害に応じた配慮もあります。盲ろう者をはじめとする重複障害の状態にある人には、それぞれの障害への配慮と重複障害特有の配慮の両方が必要なことに留意しましょう。 また、会議やイベントでの手話通訳や点字資料など、事前に準備が必要な配慮については、参加者にあらかじめ申込を求めるようにするなど、配慮の求めを促すようにすることも重要です。 障害のある人が障害のない人と同一内容の情報を同一時点において等しく取得できるよう、このガイドラインを活用し、その人に応じた配慮を意識しながら行動することを心がけましょう。 障害のある人への配慮は、子どもや高齢者、外国人などの情報弱者となりやすい人への配慮にもつながっています。 ページ43 情報・コミュニケーションの基本的な配慮 障害のある人から個別に依頼があった際には、可能な限り依頼者が要望する手段・方法でやりとりするようにする。 情報提供の際には、複数の手段の利用を意識する。例えば、文字や画像による情報が、視覚障害のある人にも利用できるよう、点字や音声、利用しやすい電子データで提供する。あるいは、音声による情報が、聴覚障害のある人にも利用できるよう、電子メールやファックスで提供する。 連絡を受け付ける際には、単一の方法に限定せず、例えば、聴覚障害のある人でも連絡できるよう、電話以外に電子メールやファックスも活用する。電話の利用が困難な人から電子メールやファックスが届いたら、電子メールの開封通知要求やファックスの記載内容などにも留意し、受信した旨を迅速に返信する。 外出が困難な障害のある人から、本人が来庁する以外の方法でのやりとりの希望や書類の郵送の依頼があった際には、可能な限り対応する。また、手続方法の複数化も必要に応じて検討する。 耳の聞こえない人や発話困難な人など、電話へのアクセスに困難のある人が、手話通訳オペレータ等を介して電話をかける「電話リレーサービス」の利用も検討する。 ページ44 文書を作成するときの配慮 全般 回答や応募に期限を設ける場合は、情報の入手・読み取り・理解に時間がかかる人であっても余裕を持って対応できるように期限を設定する。 書類の代読・代筆を依頼するのに時間がかかる場合があり、また、音声化された内容や点字を読むためには他の人より時間がかかる場合がある。 視覚障害など 視覚障害のある人であっても情報を得られるよう配慮する。視覚障害のある人に配慮した提供方法としては、音声(利用しやすい電子データでの提供を含む)、点字、拡大文字がある。音声コードがある印刷物は、対応機器やスマートフォンアプリを使用して合成音声で読み上げさせることができる。 優先的に配慮する印刷物や配慮の方法などの具体的な内容については、障害のある人のニーズをよく把握して決定する。 文字の字体、大きさ、太さ、字間・行間、コントラストに配慮する。弱視の人の中には、適切な拡大文字であれば自分の視力を活用して読める人もいる。 複数の色を使う場合は、カラーユニバーサルデザインの観点から、適切な色の組み合わせを用いるとともに、色以外の情報も加えることが望ましい。 弱視の人向けの拡大文字は、22ポイント太ゴシック体もしくはUDフォントを標準に作成する。最近では「UDデジタル教科書体」も多く使われている。 聴覚障害・音声機能障害など 問い合わせ先には電話番号のほか、メールアドレス、ファックス番号等も併記し、音声の会話以外の連絡手段も利用できるようにする。また、電話での問い合わせと同様に応対し、希望のあった返信手段で返答する。 文章は簡潔・明確に。婉曲的、或いは二重否定文は避ける。平仮名より漢字の方が意味の伝わることも多い。 知的障害など 大勢の人に内容が伝わりやすくなるよう、分かりやすい表現を心がける。特に知的障害のある人に対して配慮する場合には、下記の点に留意する。 文書や資料には平仮名で振り仮名(ルビ)をふり、行間を広めにとる。 抽象的な表現は避け、できるだけ平易な言葉で具体的に表現する。 短い文章で要点を伝えるようにする。 代名詞、「前記、前述、次のとおり」などは、伝わりにくいので使用を避ける。 かっこ書きによる長い説明を挿入しない。 絵や記号、図を活用することも望ましい。 失語症など 短い文章で要点を伝えるようにする。(一つの文に新しい情報が2つ以上入らないようにする。)論旨の流れを、矢印やまるばつなどの記号を使って整理して伝える。 箇条書きにする。 通常は漢字表記を行うもの(固有名詞も含め)は漢字を使い、熟語であってもわざわざ簡易な言い回しに書き換える必要はない。その人の尊厳を守るよう配慮する。 ページ46 文書を送付するときの配慮 全般 期限のある文書を送付する場合は、余裕を持って対応できるように期限を設定する。 在宅で生活している人には家族や身近な支援者の支援や配慮も欠かせないことから、文書の内容や個別の状況に応じて、本人以外にも必要な情報が伝わるよう配慮する。 視覚障害 差出人が視覚障害のある人にも分かるよう、封筒の表面に「しるし」を施す。例として、封筒に点字を印字する、浮き出しマークや点字シールを貼る、音声コードを貼り付けて半円形の切り欠きを施すなどの方法がある。 特に個人情報が含まれるような重要な文書や資料には、代読を依頼する際の判断基準になるので、視覚障害のある人にも分かるような目印があることが望ましい。 ここに3枚の写真があります。 1枚目 タイトル 点字加工により差出人が分かるようにした封筒の例 写真 点字加工された横浜市が発送する際に使用する封筒の写真 2枚目 タイトル 点字シールを簡単に作成することができる「点字ラベラー」 写真 点字ラベラーという機器の写真 3枚目 タイトル 音声コードの例 写真 音声コードがつけられた、横浜市の水道料金のお知らせの写真 説明文 スマートフォンアプリ「Uni-Voice」等を利用して音声コードを読み取ると、内容を読み上げることができます。 ここで写真と説明文は終わりです。 ページ47 電子メールを利用するときの配慮 電子メールは、パソコンやスマートフォンなどの様々な情報機器で利用できます。一般的にはパソコン画面を使って読み書きされますが、それ以外に、スクリーンリーダー(注釈1)を利用して音声で読み上げる、点字ディスプレイを接続して指先で読むなど、聴覚、触覚などを活用して情報を伝えることもできます。 注釈1 パソコンなどの画面上のテキストを合成音声に変換して読み上げるツール。 通常は、テキストを音声変換し自動的に読み上げるが、点字ディスプレイに点字出力する機能を持つツールもある。 ここで注釈は終わりです。 また、メール本文以外に、添付ファイルで送信された様々な形式のファイルを扱える技術も進歩してきています。 また、たとえば難病などのため外出が困難で、電話の利用も難しい人にとっては、電子メールは重要なコミュニケーション手段です。 電子メールを活用することで、紙の文書より格段に情報保障の可能性は拡大します。 視覚障害など 電子メールでの情報提供や申込の受付などが行えるように努める。 障害のある人から電子メールでの情報提供の申出があった場合に可能な範囲で対応すること、また、問い合わせ先として電子メールアドレスを記載したり、ウェブサイトにメッセージを送信できる機能を設けたりすることが望ましい。 また、電子メール以外の方法でもやりとりができることが望ましい。 電子メールで文書を提供する際は、その人の状況や利用環境に応じて、ファイル形式や添付ファイルの有無の希望について確認することが望ましい。 視覚障害者は、メール本文をスクリーンリーダーにて読み上げる。そのためにはかなり時間がかかる。宛先、差出人は冒頭に記載し、可能な限り箇条書きを使うなど簡単な分かりやすい文章を作成することが望ましい。また、添付ファイルは、スクリーンリーダーで的確に読み上げない場合があるため、可能な限り本文貼り付けで対応することが望ましい。 ここに写真と説明文があります。 点字ディスプレイの写真 説明文 視覚障害のある方が利用している点字ディスプレイの例。手前に設けられた多数の点が持ち上がり点字を表現します。点字ディスプレイを利用すると、接続したパソコンの画面表示や保存したファイルの内容を点字で読むことができます。 ここで写真と説明文は終わりです。 ページ49 窓口・受付での配慮 「対話・面談・手続の際の配慮」(54から58ページ)も参照 全般 周囲の様子が分からず困っている人、案内掲示の文字やその内容が分からない人がいたら、所属や名前を名乗り、手助けできることがないか声をかける。 例「何々課の何々です。何かお困りですか。」 戸惑っている人、不安な様子の人には穏やかな口調でゆっくり、はっきりと話しかける。話しかけるときは相手の正面から顔を見て話しかける。後ろから声をかけると、驚いてパニックを引き起こす人もいることに留意する。 家族や支援者と一緒に来訪した際にも、同行者でなく本人に話しかける。 こちらからの説明に対する理解が困難な方には、「具体的に」、「ゆっくりと」、「丁寧に」、「繰り返して」説明する。言葉での理解が難しい場合には文字や図を書いて説明する。 何か話そうとしていたら、話せるまでゆっくりと余裕を持って聞く。混乱するので、先回りしてこちらから口をはさまない。 来訪時 入口や窓口に文字やシンボルマーク(39・40ページ参照。39・40ページには障害のある人への配慮や対応施設に関するマークが掲載されています。)を掲示するなどの方法で対応可能な配慮について案内し、配慮の申出がしやすい環境を心がける。 待合室・順番待ちなど 視覚障害 周囲の様子を具体的に分かりやすく伝える。手続等で待つ必要がある場合は、安心して待てるようにおよその待ち時間を伝え、いす等に案内する。また、順番が来たときの案内や誘導にも留意する。 聴覚障害 窓口の順番を音声以外でも知らせるようにする。電光掲示板などの設備を利用するほか、番号を掲げる、直接呼びに行く等の方法が考えられる。 知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など 予定が分からないと不安になる人や待つことが苦手な人もいるので、すぐに応対できないときや時間に余裕のないときは、状況を説明し、およその待ち時間や応対できる時間などを、可能であれば具体的にあらかじめ伝える。 例 「何番の窓口でお待ちください。」、時計を指差しながら「何分待ってください。」、「長い針がここにくるまで待ってください。」、「時間をメモに書いて渡す」など なお、障害特性によっては後から延長すると不快に感じる人もいるので、時間は十分に見積り、根拠なく「すぐに」と言い切るようなことをしない。 内部障害・難病・知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など 障害特性のため、長時間の手続・面談や、長く待つことが困難な人には、別室で休めるようにする、予約を受け付けるなど、必要な配慮を行うことが望ましい。 コミュニケーション方法 全般 不安の強い方や、感覚が過敏な人もいるのでゆっくりと適度な声の大きさで、笑顔で対応する。 人により、コミュニケーション方法が異なるので、どのような方法が良いか、本人に確認ができる場合は意向を確認する。 視覚障害 視覚障害のある人が来訪することの多い場所では、弱視の人が自ら読み書きできるよう、拡大読書器、拡大鏡、手元を照らす照明器具などを常備する。 「こちら」、「あちら」、「あれ」、「これ」などの指示語は避け、具体的な言葉で説明する。 場所は、「何p右」「何歩前」など、物は「何々の申請書」など具体的に説明することが望ましい。 書類等を手渡す際には、まとめて渡すのではなく、1つずつ何の書類か説明しながら、場合によっては、相手の了解を得た上で、手を添え、物に触れてもらい説明する。 聴覚障害 筆談のための器具(筆談ボードなども含む)を備え、筆談の申出がしやすい環境を整える。筆談は、聴覚障害のある人、弱視の盲ろう者、発語・発音に支障がある人などが利用できる。 弱視の盲ろう者に筆談で応対する際は、視力・視野に応じて、見やすい大きさ、太さ、間隔、コントラストで書くようにする。 手話のできる職員がいる場合は、席配置を工夫したり、利用の申出がしやすいよう案内表示をしたりする。タブレット等による遠隔手話通訳(注釈1)のような手段もある。 注釈1 離れた場所に常駐している手話通訳者とタブレット等を利用して映像・音声でやりとり  し、画面越しに手話通訳を行う方法。タブレットの使途は聴覚障害者と聞こえる相手側の  1対1の対応に限定し、周りの人の話までは通訳保障は不可であることに留意する。 ここで注釈は終わりです。 盲ろう者 最初に相手の甲に、あるいは腕に軽く触れて担当者がそばにいることを伝える。 触れることは、複数の障害のある人に安心感を与えやすい。 内部障害 内部障害のある人は、疲労がたまりやすいなど外見からは分かりにくい不便さを抱えていることを理解し、できるだけ負担をかけない対応をこころがける。 発達障害、知的障害、精神障害など たくさんの人がいる場所や狭い空間などで相談や打合せを行っている際にパニック症状を起こす人もいる。この場合、場所を変え、落ち着くまでクールダウンの時間をとり、落ち着いた後に再開するか、日を改めるかなどについて本人の意向を確認し、対応することが望ましい。 視覚障害・聴覚障害・盲ろう者・肢体不自由・知的障害など 代筆を必要とするときは、本人の意思を確認してから代筆をする。なお、代筆を必要とする人としては、視覚障害のある人のほか、失語症の人、肢体不自由のある人や、ろう者(手話のみを用い、文字を利用しない人もいる)などもいる。 失語症 文字があると円滑にコミュニケーションができるため、筆記用具と、地名の確認のための地図や路線図、日にちの確認のためのカレンダーを常備する。 数に関することは、必ず書いて示す。 吃音・失語症など 次の音や言葉が出るまで時間を要することがあり、緊張するとさらに言葉が出なくなることもあるので、本人のペースに合わせて対応し、筆談や手話等、別の手段の希望があれば配慮する。 環境 視覚障害 視覚障害のある人との間で金銭の収受や書類の受渡を行う場合は、必要に応じて内容を口頭で伝えて確認できるようにする。その際、声の大きさや応対場所に配慮し、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにする。 知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など 障害特性によっては、カウンター越しではなく、できるだけ静かな場所で個別に応対することが望ましい場合がある。なお、その際には応対者が座る位置にも配慮する。騒がしいところで応対すると、周囲の音や動きに気を取られ、相手の話している内容が理解できず自分の考えがまとまらなくなったり、他人の話が気になって心理的に不安定になったりすることもある。 肢体不自由など 車いすを使う人には、立ったままでなく、同じ目の高さになるよう応対する。窓口には、車いすに乗ったまま利用できるよう、高さ、広さ、足もとの構造に配慮したカウンターを設置するよう努める。 筆記の際に、机の高さ、紙の位置、紙の押さえ方、記入欄の位置や大きさに配慮が必要な場合は、可能な限り対応する。 その他の場面 聴覚障害・音声機能障害・失語症・吃音・知的障害・発達障害など よく使われる用件や注文の選択肢を示したメニューを窓口や受付に用意しておくと、会話や発語が苦手な人でも安心して用件を伝えることができる。 自力で発語・発音が困難な人を支援するためのスマートフォンやタブレットのアプリ、専用機器などを、窓口での応対の必要性に応じて用意することを検討する。また、アプリや機器などを持参した人から、それらに応じたコミュニケーションを求められた場合は、可能な限り対応する。 精神障害・難病など 障害の内容や病歴を不必要に収集しない。受付書類にこれらの記入欄があると、たとえ任意であっても心理的圧力になる場合があるので、収集の必要性の有無について十分検討する。 ここに写真があります。 タイトル 筆談ボード(筆談のための器具の例) 写真 筆談ボードに、筆談できます。と書かれている写真 ここで写真は終わりです。 ページ54 対話・面談・手続の際の配慮 「窓口・受付での配慮」(49から53ページ)も参照 環境 視覚障害 視覚障害のある人には音声が特に重要な情報なので、できるだけ静かな場所で応対する。部屋に案内したときは、部屋や机の様子、席の位置を説明する。誤って触れて落としたりけがをしたりしないよう、机の上は整頓する。 十分な明るさを必要とする人、光に敏感な人には、部屋の明るさが適当かどうか確認する。窓や太陽光の位置にも注意する。 聴覚障害 騒がしい環境や屋外などの騒音のある環境では、音声が聞き取りづらくなるので、難聴者や補聴器等で聴力を補っている人には、できるだけ騒音や雑音の少ない場所で応対する。難聴者の中には自分の声の大きさを調節することが苦手な人もいるので、応対場所に配慮し、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにする。また、周囲の人に手話や筆談(筆談ボードなども含む)が見えないようにする配慮も必要である。 音声機能障害・失語症・吃音など 発語に支障がある人の声が聞き取りやすいよう、また、発語しやすいよう、なるべく静かな場所で応対する。聞き取りにくいときは分かったふりをせず、聞き取った内容を整理して紙に書くなど、他の方法も活用して内容を確認する。 緊張せず話せるよう、隣の人や後ろに並んでいる人の視線が気にならない場所で応対する。別室が望ましいが、視覚を遮るついたて等もある程度の効果がある。 対話 全般 障害のある人に同行している通訳者や介助者等はコミュニケーションに不可欠な役割を果たしているので、正当な理由がない限り同伴を拒まない。同伴ができない場面では理由を説明するとともに、他に利用できる手段がないか検討する。 障害のある人が話すのに時間がかかっていても、急かさず、ゆっくり待つ。先回りして口をはさまない。口頭での説明が苦手な人が用件を文書にして持参した際には、文書にも目を通す。 応対する人数が多すぎると、緊張から疲れてしまったり、内容の理解が難しくなったりする人もいるので、人数に配慮する。 視覚障害 視覚障害のある人にも応対している人が誰であるか分かるよう、同席者も含めて名前を名乗り、席を離れる時、席に戻った時、新たに人が加わったりしたときにはその旨を伝える。 聴覚障害 聴覚障害のある人と音声で対話する際は、ゆっくり、はっきり、口元が見えるように対面で話をする。マスクを外すことが可能な場合には外し、手や資料などで口を隠さないよう注意する。内容が正しく伝わっているか確認し、重要な点は紙に書くなどの方法も併用する。また、状況に応じて筆談、手話通訳、要約筆記等の利用も検討する。 盲ろう者 盲ろう者が通訳・介助員を同行している場合、盲ろう者が主体であることを認識し、本人の意思を確認しながら話をする。 吃音・失語症など 次の音や言葉が出るまで時間を要することがあり、緊張するとさらに言葉が出なくなることもあるので、本人のペースに合わせて対応する。筆談等、別の手段の希望があれば配慮する。 知的障害 氏名の読み方は必ず確認する。間違った読み方で呼ばれると、知的障害のある人が自分のことだと分からないことがある。 知的障害のある人には、穏やかな口調で話しかける。相手の年齢に応じた言葉を使う。伝えたいことを明確にして、短い文章で、ゆっくり、丁寧に説明する。専門用語は避け、一般的な分かりやすい言葉で、できるだけ具体的に説明する。 知的障害のある人の中には、理解していない場合でも「はい」、「分かりました」と言ってしまう人もいるので、要点を言ってもらうなど、正しく伝わっているか確認する。状況に応じて再度説明することも必要だが、本人が嫌がったり自尊心を損なったりしないよう留意する。 家族や支援者と来訪した際にも、本人と話をするよう意識する。 家族や支援者の同席を求める場合は、必ず本人の同意を得る。また、電話でこれらの人へ連絡をとる際は、本人の前で電話する。いずれの場合も必ず本人に要点を伝え、意思を確認する。 知的障害・精神障害・高次脳機能障害・発達障害など 一度に多くのことを伝えようとせず、簡潔に話す。 筆談、絵や写真、図、コミュニケーションボードを用いる、実物を見せる、身振りなどを交えるなど、伝え方を工夫することも必要である。 記憶障害のある人や複雑な内容の理解が難しい人には、説明した内容を示しながら話す。申請書の控えやコピー、大切なことを書いたメモなどを渡す。 言葉が出にくいときには、筆談や絵・図を活用したり、選択肢のある(答えやすい)質問をしたりすることで、意思の表明を手伝うことも考える。ただし、応対者に都合のよい方向に誘導することがないよう十分注意する。 特定の応対者に不信感(マイナスの感情)を抱いている場合は、応対者を変えることが有効な場合もある。 言葉遣いに「言い回し」、「忖度」など駆け引き的な表現は避け、ストレートに伝わるような表現をする。 精神障害・高次脳機能障害・発達障害など 障害のある人の話が聞き取れなくても分かったふりをしない。聞き取った内容を整理して紙に書き、確認しながら、ゆっくり聞き取る。時間をかけても、話が理解できない時は、「ここまでは分かったが、ここからは分からなかった」と正直に伝える。 コミュニケーションが取りづらい場合であっても、内容の正否の判断を急がず、まずは耳を傾ける。 話の内容を頭から否定したり、安易に同調したりしない。伝えたいことが自分で整理できず、細かい部分に気を取られてしまう障害特性があることを理解する。 話の区切りをつけるタイミングを見計らい、落ち着く様子が見られたら、用件を確認し、来訪目的に沿って応対する。 説明は要領よく短時間で行うよう心がける。長時間話し続けていると障害のある人の緊張や疲労、いらだちにつながることもあるので、一休みして気分転換するよう促したり、日を改めたりすることが有効な場合もある。 障害のある人が、不安のため泣き出したり、怒り出したり、笑いが止まらなくなったりした場合は、基本的には、ゆっくりと時間をかけて、本人が落ち着くのを待つようにする。怒り出した原因に心当たりがあればすぐに詫び、心当たりがないときも、誠意を持って応対する。意思疎通がしづらいからといっていい加減な応対をしないようにする。 また、一休みしたり、応対場所を変えたりすることが有効な場合もある。 マナー・ルール違反を特に嫌がる人もいるので、そのような対応を受けたり、そのような場面に直面したりしないよう配慮する。 手続 視覚障害 書類を代読する場合は、まず目次や全体の構成を説明し、その後に必要な箇所を読む。その際は、代読者が要約せず、原文をそのまま読み上げる。 視覚障害のある人が自署する場合は、厚紙や定規などを記入欄の下部に当てるなどの工夫をすると記入しやすくなる。また、署名欄に合わせてくりぬいたクリアフャイルやプラスチックのガイドを活用する。 視覚障害・聴覚障害・盲ろう者・失語症・肢体不自由・知的障害など 本人の自筆が必要であるか手続の見直しを行う。 障害の状況から自筆が困難な場合には、本人の意思を確認して可能な限り職員または介助者等が代筆を行い、代筆者以外が立ち会うようにする。代筆者は本人の意に反した内容を記入したり、誘導したりしない。 代筆した内容を読み上げて本人が確認できるようにする。その際、声の大きさや応対場所に配慮し、プライバシーに関する内容が周囲の人に聞こえないようにする。 知的障害 知的障害のある人が書類を作成する際には見本を示すことも有効だが、内容の誘導にならないよう十分注意する。 聴覚障害・音声機能障害・失語症・吃音など 窓口や電話で、氏名や生年月日、住所等を口頭で述べることにより本人確認を行う場合には、口頭(音声)以外の方法も利用できることが望ましい。また、手話通訳者等を介する場合もあることに留意する。 コラム 誰もが投票しやすい環境づくりの取組 本市では、誰もが投票しやすい環境づくりを目指し、障害特性に応じた対応方法をまとめた投票所接遇マニュアルを作成し、全ての投票所において適切な対応が図られるようソフト・ハードの両面から取り組んでいます。 投票所での取組 1.投票所掲示物への「ふりがな」表示 2.投票所入口までの誘導表示の追加、改善 3.障害者マークなどのピクトグラム(絵文字・絵言葉)の表示 4.受付への「耳マーク」の表示 5.コミュニケーションボードの用意 6.筆談セットの用意 7.投票用紙記入補助具の用意 8.順路に沿った番号表示 9.貸出物品の案内表示(点字器・拡大鏡・文鎮) 10. 車椅子の用意 11. エチケットラインの設定 ページ60 会議・会合・イベント等を開催するときの配慮 移動・安全確保の配慮 全般 普段利用していない部屋や施設で開催しようとする際には、特にバリアフリー設備や放送設備、照明などの対応が十分であるか下見を行う。 視覚障害・肢体不自由など 視覚障害のある人が迷わず安全に移動できるよう、会場までの経路の情報を提供する、点字案内を整備したり内容を確認したりする、誘導のための人員を配置するなどの配慮を行う。 他の参加者に対しては、衝突防止に注意する、点字ブロックの上をふさがないなど、障害のある人の安全が確保できるよう協力を呼び掛ける。 盲ろう者 会議に盲ろう者が出席する場合には、通訳・介助員を手配するなどの配慮をする。なお、盲ろう者が自宅と会場とを往復する際も通訳・介助員が必要であることに留意する。 開催準備 全般 参加者が特定されている場合、必要な配慮について事前に確認する。また、不特定多数が参加するイベントや、傍聴が可能な会議の際にも、参加希望者が事前に配慮の要望を申し出られるようにする。用意に時間を要する配慮については合理的な範囲で申出の期限を定め、その期限を明示する。 障害の状態によっては公共交通機関の利用が困難であったり、一人で会場まで来ることが難しいこともあるため、事前に障害の状態を確認し、必要な配慮を行うようにする。オンライン開催についても検討する。 なお、オンラインの操作が困難であったり、環境が整わない人にも配慮する。 あらかじめ参加者の障害の内容が分かっている場合には、案内や説明の工夫が行えるよう、司会や講師を含めスタッフ全員にその旨を伝えるようにする。 障害のある人に講演・出演等を依頼する場合、事前に主催者の責任で必要な配慮を検討・把握し、適切に準備・対応する。 聴覚障害・音声機能障害 聴覚障害のある人が必要とする配慮には、手話通訳や要約筆記の配置、補聴援助システム(磁気ループ (注釈1)等)の設置などがある。また、音声機能障害のある人のため、小さな会場であってもマイクが利用できるようにする。 注釈1、補聴援助システム(磁気ループ) 音・声が聞き取りにくい人、補聴器を利用している人、聴覚に障害がある人等が音楽や話し声を聞きやすくなるための設備。ヒアリングループともいう。 ここで注釈は終わりです。 会議やイベントの規模によっては、あらかじめ手話通訳や要約筆記などの配慮を用意する。また、代読・代筆者の配置を検討する。その際には、用意されている配慮を開催案内等に明記する。なお、非公開の会議においても手話通訳者などの同席は認められることに注意する。 要約筆記はその場での情報保障のための手段であり、記録を目的としたものではないので、議事録に代用しないようにする。 発達障害など 感覚過敏のため、騒がしい場所や大勢の参加者がいる場所が苦手な人もいることに留意する。あらかじめ会場の様子を説明することで、本人や支援者が適切に対応・判断できることもある。 資料の用意 視覚障害など 要望に応じて、資料を点字、拡大文字、音声コード貼り付け、音声で読み上げるためのテキストデータなどの形式でも作成・提供する。 視覚障害・聴覚障害・盲ろう者など 障害のある人が事前に内容を把握できるよう、極力、事前に資料を配付・送付する。特に以下のような状況に配慮する。 点字、拡大文字、音声コード、テキストデータを会場で読むことは難しい。 手話通訳や要約筆記を見ながら手元の資料を読むことは難しい。 指点字や触手話の通訳を受けながら資料を読むことは難しい。 聴覚障害・盲ろう者 手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員が会議等の内容を把握し、正確な通訳が行えるよう、通訳者等のために活字の資料を用意する。 会議等の進行 全般 障害特性に応じて、会議等の進行速度に配慮する。 会議の時間は可能な限り短く設定する。会議では、おおむね1時間ごとに休憩を設ける。特に、盲ろう者が指点字・触手話等の通訳内容を理解するには大変な集中力を要するうえ、両手をふさがれて身体面でも疲労するため、適切な休憩が必要である。 視覚障害・聴覚障害・盲ろう者など 会議などで発言する際は、視覚や聴覚に障害のある人にも発言者が誰なのか伝わるよう、名前を名乗ってから発言することを参加者に求める。発言者の名前は、手話通訳や要約筆記の際にも必要な情報である。 盲ろう者 盲ろう者が参加する場合は、盲ろう者向け通訳・介助員が通訳しやすいよう、また盲ろう者本人が読み取りやすくなるようにするため、ゆっくり発言し、また語句と語句の間に時間を空けるように留意する。 音声機能障害・失語症・吃音など 吃音の人や声が出にくい人でも発言しやすいよう、音声以外(挙手など)の方法で発言機会を得られるようなルールを用いたり、順番に指名したりするなど、司会が配慮する。また、発言の途中で小休止をとったり言葉が出なくなったりしたときに他の参加者が発言しないよう協力を求める。 吃音の人や声が出にくい人が発表する際には、プロジェクターの併用や資料の事前配付などの方法でスムーズにできることもある。また、他の発表者もこれらの方法を利用することで、特別扱いのような違和感を避けることができる。 席配置・会場設定 視覚障害 スクリーンやモニター画面を利用する場合には、弱視の人の席の位置に配慮する。また、場内を暗くすると視力が大幅に低下する人には、手元で利用する照明を持参するよう事前に案内するか、または主催者側で準備する。 聴覚障害・盲ろう者・失語症など 席の配置に配慮し、本人に希望を確認する。一般に、聴覚障害者は発言者の表情が見やすく、音声が聞き取りやすい最前列が望ましい。手話通訳や要約筆記を利用する場合も見えやすい前方の席がよいが、場内の様子も分かるよう最前列を避ける人もいる。磁気ループを利用できる座席が限定されている場合は設置場所を明示する。 手話が見やすくなるよう、通訳者の立つ位置、高さに留意する。場内を暗くする場合でも、手話通訳や要約筆記が見えるよう、照明や席の配置に配慮する。 会議参加者が個別に手話通訳や要約筆記を利用する場合は、通訳者の席を用意し、必要な広さを確保する。 指点字、手のひら書き、要約筆記、パソコン通訳などをコミュニケーション手段とする人の場合、椅子のみでなく、机を用意する。 色覚異常 レーザーポインターを使用する際、色覚異常の人でも見やすいよう、赤色でなく緑色などのものを使用することが望ましい。 ページ64 案内・表示における配慮 全般 障害のある人に対応した設備(特にトイレやエレベーター、駐車場)が来訪者に分かりやすく伝わるよう施設案内の内容の充実や表示の整備に努めるとともに、ウェブサイト等を通じて対応設備や案内の情報を提供する。なお、点検等で設備が使用できない場合は、事前の告知に努め、代替手段の情報も提供するようにする。 視覚障害・色覚異常など 視覚障害のある人にも現在地や行き先が分かるよう、建物の案内表示や手すり等に点字を付けたり、触地図の整備を検討する。また、案内表示は弱視・色覚異常の人にも見えやすいよう、大きさ、位置に配慮し、カラーユニバーサルデザインの観点から色づかいにも留意する。(34から35ページ参照。34から35ページには、色覚異常のある人への配慮について記載されています。) 建物の案内表示や触地図は常に最新の情報に更新し、利用者が迷わないようにする。特に、点字が併記してある場合には点字も同様に更新する。案内表示を設計する際には更新のしやすさや費用も考慮することが望ましい。 来館者向けにタッチパネル式機器等を設置・提供する際は、視覚障害のある人でもテンキーや音声などで操作できるようにするか、有人窓口や案内係など、他の手段も利用できるように配慮する。 知的障害・発達障害など 必要に応じて、案内にふりがなをつける、図や記号、絵を併用するなど、知的障害のある人などへの配慮を行う。また、これらの配慮は読み書き障害のある人や、日本語に不慣れな外国人などに対しても役立つ。 ページ65 福祉サービスについての情報を提供するときの配慮 全般 障害のある人が、様々な福祉サービス(入所や通所での障害福祉サービス等のほか、相談支援や成年後見制度等)を利用する際にも、障害の種類によっては情報・コミュニケーションのために適切な支援を受ける必要があることに留意する。 情報の入手手段が限られる人であっても、必要な情報が入手できるよう、情報提供の方法を十分に検討し、必要な人に情報が届くように努める。 障害のある人に関する団体は、障害のある人にとって必要な情報を提供したり、障害のある人のための様々な事業やサービスを実施したりしている。これらの団体に対しても適切に情報提供を行うとともに、地域で生活している障害のある人が必要に応じて団体の存在や活動内容等を知ることができるよう周知に努めるようにする。 ページ66 災害時・緊急時の配慮 本市では、「地域ぐるみで災害対策 災害時要援護者支援ガイド」を作成し、市ホームページに掲載しています。この項目では、「地域ぐるみで災害対策 災害時要援護者支援ガイド」より一部抜粋した内容に、説明を加え記載しています。 災害時の配慮 避難所の運営に協力するとき 目の不自由な人に配慮し、お知らせは拡声器などを用いた放送で知らせましょう。 耳の不自由な人に配慮し、放送によるお知らせは必ず掲示するなどしましょう。 災害時要援護者の状況ごとに必要な配慮 耳の不自由な人 外見から分かりにくい場合があります。 外見からは聞こえないことが分かりにくいため、挨拶したのに返事をしないなどと誤解されることがあります。 避難者で手話が使える人がいれば、協力をしてもらいましょう。 ただし、耳が不自由であっても、全ての人が手話を使えるわけではありません。どのような支援が必要か、よく確認をしましょう。 人それぞれ障害になった時期、障害の程度などによって、コミュニケーションの手段が異なることを理解しましょう。 中には相手の口の動きで言葉を読み取る人もいらっしゃいます。話をするときは、相手に自分の口が見えるように、口の動きがはっきり分かるように、ゆっくりと話しましょう。 補聴器をつけている人もいますが、補聴器で音を大きくしても、明瞭に聞こえているとは限らず、相手の口の形を読み取るなど、視覚による情報で話の内容を補っている人もいます。 話をするときは、筆談でやりとりをすることもできます。声に出して話すことができても相手の話は聞こえない人もいますので、確実に伝わるよう書いて確かめましょう。 視覚を中心に情報を得ています。 音や声による情報が得にくく、文字や図などの視覚により情報を入手しています。 放送などの音声情報だけではなく、必ず同時に文字情報での情報提供を行いましょう。 掲示板などを設けるなどしましょう。 掲示物を指差すなどして重要な情報を伝えることも考えられます。 目の不自由な人 音声を中心に情報を得ています。 目からの情報が得にくいため、音声や手で触ることなどにより情報を入手しています。 文書を読むことや書類に文字を記入することが難しい人もいます。 掲示板などの文字情報だけではなく、必ず同時に音声情報での情報提供を行いましょう。 掲示板のところに一緒に行って、 掲示物を読み上げることも考えられます。 指示語(あれ、これなど)は使わないようにしましょう。 知的障害のある人 複雑な話や抽象的な概念は理解しにくい場合があります。 人にたずねること、自分の気持ちを伝えること、漢字の読み書きや計算が苦手な人もいます。 ひとつの行動に執着したり、同じ質問を繰り返したりする人もいます。 短い文章で「ゆっくり」「具体的に」「繰り返し」説明をお願いします。 抽象的な表現は用いず、できるだけ具体的に説明してください。ただし、決して子ども扱いはせず、本人を尊重するように話をしましょう。 強い口調に驚いてパニックをおこす人もいます。穏やかな口調を心がけてください。 発達障害(自閉症など)のある人 外見から分かりにくい障害の一つで、年齢相応の社会性が身についていないように感じることがあります。 ・遠回しの言い方や曖昧な表現は理解しにくいです。相手の言ったことを繰り返すときは、相手が言っていることが理解できていない場合があります。 いつ・どこで・何を・いつまでにするかをはっきり伝えるようにしましょう。 ・「ちょっと待っていてください」ではなく、「何分間(何時まで)待っていてください」など、具体的に、簡潔に伝えるようにしましょう。 相手の表情・態度やその場の雰囲気を読み取ること、順序立てて論理的に話すことが苦手な人もいます。関心あることばかりを一方的に話す人もいます。 ・環境の急激な変化でパニックをおこしやすくなる人もいます。また、大勢の人がいる場所が苦手な人もいます。 体育館以外の教室等が確保できれば、専用スペースを設け、落ち着ける環境をつくりましょう。 その人の行動をよく知っている人がいる場合は、落ち着ける状況を聞き取り、対応しましょう。 精神障害のある人 ストレスに弱く、疲れやすく、対人関係やコミュニケーションが苦手な人もいます。 災害からもたらされる様々なストレス状況に大きな負担を感じている場合があります。服薬中断により、一時的に症状が悪化する人もいます。 慣れない環境で不安定になり、集団生活になじめない場合があるので、本人や家族が孤立しないよう配慮することを心がけましょう。 体育館以外の教室等が確保できれば、専用スペースを設け、落ち着ける環境をつくりましょう。 その人の行動をよく知っている人がいる場合は、落ち着ける状況を聞き取り、対応しましょう。 参考 災害に備えた情報伝達・情報入手手段 日ごろから地域の防災訓練に参加するとともに、お付き合いのある身近な人に情報伝達をお願いしておきましょう。 横浜市防災情報Eメール 横浜市では、地震震度情報、気象警報・注意報等を始めとする防災情報をEメールで配信するサービスを行っています。このサービスを携帯電話等で活用することにより、防災情報をいち早く入手することができます。 詳しい内容や登録方法等については、横浜市総務局危機管理部のホームページに掲載されています。 聴覚障害者災害情報配信登録 耳の不自由な人には、事前登録制で避難情報等の災害時緊急情報をファクシミリ通信網を利用して自宅のファックスへ配信する仕組みがあります。 対象者や登録申請につきましては、横浜市健康福祉局障害福祉保健部のホームページまたは各区福祉保健センターにてご確認ください。 電話お願い手帳 NTTで作成している「電話お願い手帳」を使うと「用件を電話で連絡したい」「緊急事態なので助けてほしい」など、周りの人に協力をお願いしたいことが、分かりやすく伝えられます。 NTTのホームページに、ウェブ版・アプリ版・印刷用PDFデータについて詳しい内容が掲載されています。 参考 事件・事故等の緊急時の情報伝達手段 聴覚障害・音声機能障害・失語症・吃音など 聴覚障害や音声機能障害、失語症、吃音などのため音声による通報が困難な人が、音声以外で通報を行うことができる方法があります。 110番アプリシステム  警察庁が開発し、事件事故の発生(通報)場所を管轄する都道府県警察に通報するもので、聴覚や言語に障害がある方など音声による110番通報が困難な方がスマートフォンなどを利用して、文字や画像で110番通報できるシステムです。 スマートフォンにアプリをダウンロードし、氏名、電話番号、パスワードなどを事前登録することで利用できます。 ファックス110番 事件・事故等の必要事項を紙面にし、ファックス送信して警察(110番センター)に通報することができます。 ネット119緊急通報システム スマートフォンなどの携帯端末から、簡単なボタン操作で救急車や消防車を呼ぶことができます。 ファックス119番 局番なしの119番にファックス送信することで通報できます。 電話リレーサービス 電話リレーサービスとは、耳の聞こえない人や発話困難な人など、電話へのアクセスに困難のある人が、手話通訳オペレータ等を介して電話をかけることにより、通話の相手方との意思疎通を可能とするサービスです。 一般の電話への発信に加えて、緊急通報(110、119、118)にも対応できるようになりました。 ページ71 ウェブサイト・動画等の配慮 ウェブサイト(ホームページ)での情報提供における配慮 ウェブアクセシビリティの向上は、障害のある人に限らず様々な人にとって利用しやすいウェブサイトを提供するために重要です。 日本国内では高齢者・障害者に配慮したウェブコンテンツについて規定したJIS規格(JIS X 8341-3)が定められています。 なお、総務省では、国及び地方公共団体等の公的機関のホームページ等が、高齢者や障害者を含む誰もが利用しやすいものとなるように、公的機関がウェブアクセシビリティの確保・維持・向上に取り組む際の取組の支援を目的として「みんなの公共サイト運用ガイドライン」を作成しています。本市もこのガイドラインに基づいた企画・制作・運用の管理、及び職員に対する継続的な教育による運用ルールの遵守により、ウェブアクセシビリティの維持・向上を目指しています。 障害のある人が利用しやすいウェブサイトを提供するには、特に下記の点に留意します。 身体に障害のある人などは、マウスは使わずキーボードのみで入力することがある。また、音声入力を利用する人もいるので、これらの操作を意識する。 全盲の人は、ウェブページの内容を把握したりページを移動したりするために、スクリーンリーダーを利用している。視覚障害者は、障害の程度により画面表示(サイズやコントラスト等)を調整して利用することもある。これらの利用に配慮した内容で提供する。 視覚以外の方法でも内容が伝わるよう配慮する。また、色覚異常の人にも色が見分けられるよう配色にも配慮することが望ましい。 文書をPDF形式で掲載する際は、スクリーンリーダーでも読めるよう、単なる画像ではなく適切なテキスト情報を含む形式で用意することが望ましい。また、ウェブページ(HTML)として掲載可能な情報はウェブページでの掲載を基本とし、PDF形式のみで掲載することは避けるようにする。 外出機会が少ない人や電話等を使いづらい人にとってはウェブサイトが重要な情報源となることに留意し、必要とされる内容を想定した情報提供を行うとともに、古い情報、誤った情報が掲載され続けないようにする。 全ての人がウェブサイトや各種情報機器を利用して情報を入手することができるわけではないことに留意し、他の情報提供手段も併用することが望ましい。 動画コンテンツを作成するとき 広報番組放送や広報DVD、インターネット経由で提供する動画等を作成する際には、以下の配慮を行います。 視覚障害のある人への配慮として、副音声によるナレーションや音声ガイドを付加することが望ましい。 聴覚障害のある人への配慮として、手話通訳を付加したり、字幕等文字情報の提供を併用したりすることが望ましい。 動画の中で問い合わせ先などを示す場合には、視覚(文字や画像)、聴覚(ナレーション)の両方で具体的な内容を提供する。(たとえば、「御覧の電話番号」では伝わらない) ページ73 障害のある人への職場での配慮 障害のある人もない人も、その能力と適性に応じた雇用の場に就けるようにすることは重要なことです。改正障害者雇用促進法が施行され、雇用分野での障害者差別は禁止、合理的配慮の提供は義務とされました。ポイントは下記のとおりです。 1. 雇用の分野での障害者差別を禁止 2. 合理的配慮の提供義務 3. 相談体制の整備・苦情処理、紛争解決の援助 これを受け、合理的配慮の提供について様々な取組が進められています。私たちも職場で働く一員として、法や厚生労働省・都道府県労働局による指針等(注釈1)を遵守するとともに、特に情報のやりとりに関して以下のような配慮を行うことが求められています。 注釈1  厚生労働省障害者雇用対策課では、事業主が取り組んでいる事例を収集した「合理的配慮指針事例集」を作成・公開している。 関連する厚生労働省ホームページのアドレス https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html ここで注釈1は終わりです。 障害のある人であっても、適切な配慮があれば他の能力を活かしてできることは数多くあることに留意し、仕事の内容や分量、提供する配慮を考える。 周囲の人が何でも代わりにするのではなく、本人の意思や能力を尊重し、適切な判断や決定が行えるよう、障害特性に配慮した形で情報を提供し、コミュニケーションが行えるようにする。また、障害のある人同士で相談できるようなコミュニケーション環境(例えばピアサポート(注釈2)のような仕組み)を作ることも働きやすい職場づくりに有効である。 注釈2  「ピア」とは仲間を意味している。専門家によるサポートとは違い、仲間としてよりよくサポートすることをいう。 ここで注釈2は終わりです。 障害のある人が働き続けるには、組織のトップや管理職、人事担当者のみでなく、日常的に同じ職場で働く 人たちの障害に対する理解が欠かせないことに留意し、同僚等への適切な研修や説明、情報提供を行う必要がある。 職場内で共有する必要がある情報が障害のある人にも伝わるよう、掲示のみ、口頭のみといった伝達方法にならないよう注意する。内部関係者のみの会議や会合であっても、障害特性に応じた合理的配慮を提供する。 仕事を頼むときには、作業量に配慮し、用件を一つずつ伝える。他の用件をすでに受け持っている場合には、優先順位の判断ができるよう配慮する。口頭ではなく、内容を文字や図表などで具体的に示すことで伝わりやすくなることもある。記憶障害のある人や、複雑な事柄の理解が苦手な人には、メモを渡す、定期的に継続して伝えるなどの配慮も有効である。 精神障害や高次脳機能障害では、疲れやすくなる症状があることに留意する。 本文はここまでです。 障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン 令和6年3月 横浜市 発行 横浜市健康福祉局障害福祉保健部障害施策推進課 〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10 電話 045-671-3598 ファックス 045-671-3566 協力 横浜市障害者社会参加推進センター 作成にあたり千葉県が作成した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を参照しました。 障害のある人に対する情報保障のためのガイドラインはここで終わりです。