第 34期横浜市社会教育委員会議第1回次第 日時:令和6年 10月 30日(水)午後6時から場所:横浜市庁舎 18階会議室 開 会 1 生涯学習担当部長あいさつ 2 委員自己紹介 3 事務局紹介 4 議事 (1)議長及び副議長の互選について・・・・・・・・・・資料1(2)「第三次横浜市民読書活動推進計画」について・・・・資料3・45その他閉会 資料1 第 34期横浜市社会教育委員名簿 (任期:令和6年 10月1日〜令和8年9月 30日)五十音順・敬称略 氏名 役職名 選出区分 あらかきじろう新垣二郎 横浜市立大学国際教養学部准教授 学識経験者 いちかわのりこ市川紀子 株式会社有隣堂経営企画本部広報・マーケティング部チーフ 教育委員会が必要と認める者 きたはら北原まどか 認定NPO法人森ノオト理事長 社会教育関係者 こばやしゆうき小林祐樹 東山田中学校校長 学校教育関係者 さいとう齊藤ゆか 神奈川大学人間科学部教授 学識経験者 すずきよういち鈴木陽一 柏尾小学校校長 学校教育関係者 ななさわじゅんこ七澤淳子 公益財団法人よこはまユース事業課長 社会教育関係者 のぐちたけのり野口武悟 専修大学文学部教授 学識経験者 まきのあつし牧野篤 東京大学大学院教育学研究科教授中央教育審議会生涯学習分科会委員 学識経験者 よねださちこ米田佐知子 子どもの未来サポートオフィス代表関東学院大学経済学部非常勤講師 家庭教育関係者 資料2 横浜市社会教育委員 関係法令等 ■社会教育法(関連部分抜粋)■社会教育委員及び公民館運営審議会の委員の委嘱の基準を 条例で定めるに当たって参酌すべき基準を定める省令(関連部分抜粋) ■横浜市社会教育委員条例■横浜市社会教育委員会議規則■横浜市社会教育委員会議運営要領 ○社会教育法(社会教育委員の関連部分抜粋) (昭和24年6月10日法律第207号) (改正:令和4 年6月17日法律第 68号) (市町村の教育委員会の事務) 第5条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。 二社会教育委員の委嘱に関すること。 (審議会等への諮問) 第13条国又は地方公共団体が社会教育関係団体に対し補助金を交付しようとする場合には、あらかじめ、国にあつては文部科学大臣が審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条に規定する機関をい う。第51条第3項において同じ。)で政令で定めるものの、地方公共団体にあつては教育委員会が社会教育委員の会議(社会教育委員が置かれていない場合には、条例で定めるところにより社会教育に係る補助金の 交付に関する事項を調査審議する審議会その他の合議制の機関)の意見を聴いて行わなければならない。 (社会教育委員の設置) 第15条都道府県及び市町村に社会教育委員を置くことができる。 2 社会教育委員は、教育委員会が委嘱する。 (社会教育委員の職務) 第17条社会教育委員は、社会教育に関し教育委員会に助言するため、次の職務を行 う。 一社会教育に関する諸計画を立案すること。 二定時又は臨時に会議を開き、教育委員会の諮問に応じ、これに対して、意見を 述べること。 三前二号の職務を行うために必要な研究調査を行うこと。 2 社会 教育委員は、教育委員会の会議に出席して社会教育に関し意見を述べることができる。 3 市町村の社会教育委員は、当該市町村の教育委員会から委嘱を受けた青少年教育に関する特定の事項について、社会教育関係団体、社会教育指導者その他関係者に対し、助言と指導を与えることができる。 (社会教育委員の委嘱の基準等) 第18条社会教育委員の委嘱の基準、定数及び任期その他社会教育委員に関し必要な事項は、当該地方公共団体の条例で定める。この場合において、社会教育委員の委嘱の基準については、文部科学省令で定める基準 を参酌するものとする。 ○社会教育委員及び公民館運営審議会の委員の委嘱の基準を条 例で定めるに当たって参酌すべき基準を定める省令 (社会教育委員の関連部分抜粋) (平成23年12月1日文部科学省令第42号) (最終改正:平成25年9月10日文部科学省令第25号) (社会教育委員の委嘱の基準を条例で定めるに当たって参酌すべき基準) 第1条 社会教育法(昭和24年法律第207号。以下「法」という。)第18条の文部科学省令で定める基準は、学校教育及び社会教育の関係者、家庭教育の向上に資する活動を行う者並びに学識経験のある者の中から委 嘱することとする。 ○横浜市社会教育委員条例 制定昭和25年8月4日条例第30号最近改正 平成25年12月25日条例第90号 市会の議決を経て、〔横浜市社会教育委員の設置並びに費用弁償に関する条例〕を次のように定める。 横浜市社会教育委員条例(設置) 第1条 社会教育法(昭和24年法律第207号)第15条の規定に基き、本市に社会教育委員(以下委員という。)を置く。 (委嘱の基準) 第2条委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱する。 (1) 学校教育及び社会教育の関係者 (2) 家庭教育の向上に資する活動を行う者 (3) 学識経験のある者 (4) 前3号に掲げる者のほか、教育委員会が必要と認める者(委員の定数) 第3条 委員の定数は10人とする。 (任期その他)第4条 委員の任期は2年とする。但し、1回に限り重任を妨げない。2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。3 教育委員会は、特別の事情があるときは、任期中でも委員を解嘱すること ができ る。(費用弁償) 第5条 委員が職務のため市外に出張したときは、費用弁償として旅費を支給する。2 前項の旅費は、横浜市旅費条例(昭和23年10月横浜市条例第73号)中2号の者に支給する額により、同条例を準用して支給する。 3 委員が職務を行うために必要な研究調査及びその他の費用は、予算の範囲内においてこれを弁償する。(委任) 第6条 この条例施行に関し必要な事項は、教育委員会が定める。 附 則 1 この条例は、公布の日から施行する。2 この条例施行後最初に委嘱される委員の任期は、第3条の規定にかかわらず、昭和27年3月31日までとする。 付 則(昭和30年3月条例第3号)抄1 この条例の施行期日は、市長が定める。(昭和30年5月規則第26号により同年同月21日から施行) 附 則(平成 25年 12月条例第 90号)1 この条例は、平成 26年4月1日から施行する。 ○横浜市社会教育委員会議規則 制 定昭和25年8月4日教委規則第6号最近改正 平成15年10月15日教委規則第16号 横浜市社会教育委員会議規則を次のように定める。 横浜市社会教育委員会議規則(目的) 第1条 横浜市社会教育委員(以下「委員」という。)の会議(以下会議という。) については、この規則の定めるところによる。(議長及び副議長) 第2条 会議に、議長及び副議長それぞれ一人を置く。2 議長及び副議長は、委員の互選により定める。3 議長及び副議長の任期は、委員の任期とする。4 副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき、又は議長が 欠けたときは、そ の職務を行う。(会議) 第3条 会議は、必要に応じ議長が招集し、これを主宰する。2 会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。3 議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは議長の決するところ による。(関係者の出席) 第4条 議長は、議案その他に関し必要あるときは、関係者の出席を求めて、その意見又は説明を聴くことができる。 第5条 教育委員会事務局職員は、会議に出席して、意見を述べることができる。(庶務) 第6条 会議に必要な庶務は、教育委員会事務局において行う。(委任) 第7条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、教育長が別にこれを定める。 附 則この規則は、公布の日から施行する。 附 則(平成6年1月教委規則第3号)この規則は、公布の日から施行する。 附 則(平成11年10月教委規則第10号)この規則は、公布の日から施行する。 附 則(平成15年10月教委規則第16号)この規則は、公布の日から施行する。 ○横浜市社会教育委員会議運営要領 制 定平成12年9月18日 (趣旨) 第1条この要領は、横浜市社会教育委員会議(以下「会議」という。)の運営に関 し必要な事項を定めるものとする。 (議事日程) 第2条会議の議長(以下「議長」という。)は、会議の議事日程を定め、あらかじ め会議の委員(以下「委員」という。)に通知するものとする。ただし、急を要す る場合は、この限りでない。 2 議長が必要と認めるとき、又は委員からの発議があったときは、議長は、会議に 諮り、討議を行わないで、議事日程を変更することができる。(開会等) 第3条会議の開会、閉会、中止等は、議長がこれを宣告する。 2 議長は、開会の宣告後、会議の定足数を確認するものとする。 3 議長は、委員の出席数が定足数に満たないとき、又は会議中出席者数が定足数を 欠けたときは、延会又は休憩を宣告するものとする。(議事の運営) 第4条議事の運営は、前回の会議録の承認、報告、説明、質疑、討論及び議決の順 序によるものとする。ただし、議長が必要と認めるときは、この限りでない。(発言及び採決) 第5条会議において発言しようとするものは、議長を呼び、議長の許可を得た上、 簡潔に、かつ議題に即して発言しなければならない。 2 議長は、会議及び討論の終結を宣告しようとするときは、会議に諮り、討議を行 わないで、これを決定するものとする。 3 議長は、採決するときは、その旨を宣告するものとする。(会議録) 第6条会議は会議録を作成するときは、次の事項を記録するものとする。 (1) 開会及び閉会に関する事項並びに開催年月日時 (2) 出席委員及び欠席委員の氏名 (3) 議事日程等 (4) 議案に関する議事及び議決の状況 (5) 議案及び関係資料 (6) その他会議が必要と認める事項 2 前項の場合において、会議録は、審議経過、結論等が明確となるよう作成し、会 議において確認を得るものとする。ただし、非公開の会議に係る会議録の確認を得 る場合又は次回の会議開催まで1箇月以上を 要する場合においては、各委員への持 回り又は会議があらかじめ指名した者の確認を得ることとすることができる。(会議の公開) 第7条会議は、公開とする。 2 会議の傍聴を希望する者は、会場の受付で氏名及び住所を記入し、傍聴券(別表 様式)の交付を受けなければならない。 3 前項の傍聴券は、会議当日、先着順に交付する。(会議資料の配布) 第8条会議を公開するときは、会議を傍聴する者(以下「傍聴者」という。」に会 議資料を配布するものとする。この場合において、傍聴者に配布する会議資料の範 囲は、議長が定める。 (秩序の維持)第9条傍聴者は、会場の指定された場所に着席しなければならない。 2 傍聴者は、会場において、写真撮影、録画、録音等を行ってはならない。ただし、議長が許可した場合は、この限りでない。 3 危険物を持っている者、酒気を帯びている者その他議長が会議の運営に支障があ ると認める者は、会場に立ち入ってはならない。(会場からの退去) 第10条議長は、傍聴者が会議の進行を妨害する等会議の運営に支障となる行為をするときは、当該傍聴者に会議の運営に協力するよう求めるものとする。この場合において、議長は、当該傍聴者がこれに従わないと きは、会場からの退去を命じることができる。 (会議の非公開) 第11条横浜市の保有する情報の公開に関する条例(平成12年2月横浜市条例第1号)第31条ただし書の規定により会議を非公開とするときは、議長は、その旨を宣告す るものとする。 2 議長は、委員の発議により会議を非公開とするときは、各委員の意見を求めるも のとする。3 会議を非公開とする場合において、会場に傍聴者がいるときは、議長は、その指 定する者以外の者及び傍聴者を会 場から退去させるものとする。 附 則 この要領は、平成12年9月18日から施行する。別表様式(第7条第2項) 第 号 傍 聴 券 傍聴人住所氏名 横浜市社会教育委員会議議長 傍 聴 さ れ る 方 へ 1会場の指定された場所に着席してください。2会場において、写真撮影、録画、録音等を行わないでください。ただし、議長が許可した場合を除きます。3危険物を持っている方、酒気を帯びている方その他議長 が会議の運営に支障があると認める方は、会場に立ち入ることができません。4傍聴者が、会議の進行を妨害する等会議の運営に支障となる行為をし、議長の指示に従わないときは、会場から退去していただきます。 資料3 第三次横浜市民読書活動推進計画(素案) 令和6年 12月横浜市教育委員会 目次 第1章第三次横浜市民読書活動推進計画について .............................. 11第三次横浜市民読書活動推進計画の趣旨 ........................................... 22読書活動推進の意義 ............................................................. 23計画の位置づけ ................................................................. 34計画期間 .......................................................................35推進体制 .......................................................................3 第2章読書活動を取り巻く状況について ...................................... 41国・県の動向 ...................................................................52横浜市の動向 ...................................................................63横浜市における読書活動推進の現状 ............................................... 8 第3章計画の全体について ................................................. 231基本姿勢 ......................................................................242計画体系 ......................................................................26柱1未来を担う子どもたちの読書活動の推進 ........................................ 28柱2市民の読書活動の環境と機会の充実 ............................................ 36柱3読書バリアフリーの推進 ...................................................... 41 資料編 ..................................................................... 441関連法令(子ども読書法、読書条例、読書バリアフリー法) .........................452第 33期社会教育委員会議提言 ................................................... 483第三次読書計画策定経過 ...................................................... 504市民アンケート実施概要 ...................................................... 515市民ワークショップ実施概要 .................................................. 52 本市は、乳幼児から高齢者まですべての横浜市民の読書活動を総合的に推進するため、「子どもの読書活動の推進に関する法律(以下「子ども読書法」という。)」の第4条「子どもの読書活動の推進に関する施策 」と「横浜市民の読書活動の推進に関する条例(以下「読書条例」という。)」の第3条「市民の読書活動の推進に関する施策」を合わせ、一体の計画として平成 26年3月に「横浜市民読書活動推進計画(以下「 第一次読書計画」という。)」を策定しました。 これにより、第一次読書計画策定から平成 30年度までのおおむね5年間、市内各所で様々な読書活動が活発に推進され、区役所・市立図書館(以下「図書館」という。)・市立学校(以下「学校」という。)では 地域性に応じた読書活動推進目標を策定しました。 令和元年6月 28日には、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に 関する法律(以下「読書バリアフリー法」という。)」が施行されました。第一次読書計画期間中の5年間の社会情勢の変化、取組状況と成果や課題等の検証、読書バリアフリー法の基本理念等を踏まえ、「第二次 横浜市民読書活動推進計画(以下「第二次読書計画」という。)」を令和元年 12月に策定しました。第二次読書計画策定から令和5年度までのおおむね5年間では、第一次読書計画の取組を継続しつつ、区役所・ 図書館・学校は、地域性に応じた読書活動推進目標を更新、教育委員会は、他機関、民間事業者と連携し、全市的な読書イベントや広報活動を実施してきました。 この度、第二次読書計画の計画期間(令和元年度〜令和5年度)が終了となるため、第三次横浜市民読書活動推進計画(以下「第三次読書計画」という。)を策定します。 第三次読書計画は第二次読書計画の取組を継続しつつ、これまでの成果や課題、社会情勢の変化等を踏まえ、策定します。 子ども読書法及び読書条例では、読書活動 ※1を「言葉を学び、感性を磨き、表現力、創造力等を高め、又は豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付ける上で大切なもの」としています。 また、読書条例では基本理念として「乳幼児期から高齢期まで市民一人一人が豊かな文字・活字文化の恵沢を享受することができる環境を整備するよう全力を挙げなくてはならない」としています。そのため、家庭 や学校、地域で読書活動を進めていくことが求められています。 そして、読書バリアフリー法をテーマに諮問した第 33期横浜市社会教育委員会議※2(令和3年〜令和5年)では、令和元年に施行された読書バリアフリー法を受け、横浜市としての読書バリアフリー法に基づく取 組の方向性について、基本的な取組、重点取組等を示した提言がなされました。この提言では、視覚障害者等をはじめ、すべての市民が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられる環境の整備が求められています。 市民一人一人の心豊かな生活及び活力ある社会の実現に資するため、本市及び関係者は、第三次読書計画に記載した取組を実施します。 1読書活動 …第三次読書計画における「読書活動」は、人文科学、社会科学、自然科学などあらゆる分野の書籍に加 え、新聞や雑誌等を読むこと、何かを調べるために書籍を読むこと、電子書籍等のデジタルを活用した資料など紙媒 体以外で読むこと、視覚障害者等が録音図書やデイジー図書(P.21参照)を聞くことも含みます。 2横浜市社会教育委員会議 …社会教育(学校教育以外で主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活 動) に関し、教育委員会へ助言することを目的に設置しています。 第三次読書計画は、関係法令・条例に基づき策定し、本市計画の関連する部分や国・県等読書活動に関する計画等との整合性・連携を図ります。 横浜教育ビジョン 2030 第 33期横浜市社会教育委員会議提言 第4期横浜市教育振興基本計画 令和6年度(2024年度)から令和 10年度(2029年度)までの5年間とします。 区役所・図書館・学校は、第三次読書計画を踏まえ、区の地域性に応じた読書活動推進目標を定め、これまでの読書活動推進の取組の中で築かれた連携基盤を生かし、引き続き地域全体で読書活動を推進します。 また、区役所・図書館・学校及び教育委員会は、読書活動推進団体等と連携・協働・共創しながら、読書活動推進の取組を拡充していきます。 (1) GIGAスクール構想による1人1台端末や高速通信ネットワーク環境の整備(令和元年 12月) GIGAスクール構想とは、国が提唱した「児童生徒向けの 1人 1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びを全 国の学校現場で持続的に実現させる」ことを目指した構想のことで、令和元年 12 月に予算案が閣議決定されました。 同構想では、令和5年度までに 1人 1台端末の整備を目標としていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、休校が続く学校などの状況を鑑み、令和2年度中までに前倒しで各自治体が一人一台 端末を整備することとなりました。 (2)視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(令和2年7月) 令和元年6月に、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与する ことを目的として、読書バリアフリー法が施行されました。 それに基づき令和2年7月に文部科学省および厚生労働省が、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を公表しました。 基本的な方針として、アクセシブルな電子書籍等 ※3の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供、アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上、視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮の3つ が掲げられています。 (3)第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」の策定(令和4年1月) 第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」(計画期間 /令和4年度〜令和8年度)では、各学校における学校図書館図書標準※4達成を目指すための新たな図書の整備に加え、図書の廃棄・更新を進めるための選 定基準・廃棄基準を策定し、古くなった本を新しく買い替えることを促進することや、新聞の複数紙配備を図ることなどが示されました。 (4) 第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の策定(令和5年3月) 国では、第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が、令和5年3月に策定されました。この計画は、政府がおおむね5年ごとに策定するもので、子どもの読書活動の推進に関する施策の総合的かつ 計画的な推進を図るための基本的方針を示すものです。 第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」では、「不読率の低減」、「多様な子どもたちの読書機会の確保」、「デジタル社会に対応した読書環境の整備」、「子どもの視点に立った読書活動の推進 」の4つの基本方針が示されました。 (5)「かながわ読書のススメ〜第五次神奈川県子ども読書活動推進計画〜」の策定(令和6年3月) 神奈川県では、「かながわ読書のススメ〜第五次神奈川県子ども読書活動推進計画〜」が令和6年3月に策定されました。この計画では、「『友のようにいつもそばに一冊の本を』〜本との出会い、本から拓く思い やり心のつながりを大切に〜」をスローガンに掲げ、「子どもが読書に親しむための環境づくり」、「子どもが読書に親しむことを支える人づくり」、「子どもが読書に親しむための情報収集・発信」を基本方針と しています。 3アクセシブルな電子書籍等…デイジー図書(P21参照)・音声読み上げ対応の電子書籍・オーディオブック・テキストデータ等、視覚障害者等が利用しやすい書籍のこと。 4学校図書館図書標準 …文部科学省の定める、学校規模(学級数)に応じた蔵書の整備目標。 (1) GIGAスクール構想による 1人 1台端末の整備(令和2年9月) 国において、当初令和5年度までとしていた1人1台端末の整備が令和2年度中へ前倒しとなったことを受け、本市では令和2年9月に「横浜市における GIGAスクール構想(以下「 GIGAスクール構想」という。)」 を公表しました。 GIGA スクール構想に基づき、端末や校内 LAN 等の ICT 環境を整備するとともに、今までの横浜の教育と最先端の ICT のベストミックスを図りながら、多様な児童生徒を誰一人取り残すことなく、「個別最適な学 び」と「社会につながる協働的な学び」を実現する取組を行っています。 (2) 読書バリアフリー法に基づく取組の方向性に関する提言(令和5年2月) 第 33期横浜市社会教育委員会議(任期/令和3年9月 15日〜令和5年9月 14日)では、「読書バリアフリー法に基づく取組の方向性について」協議が行われ、提言がまとめられました。 この提言は、読書バリアフリー法で「視覚障害者等」として定義されている「視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について視覚による表現の認識が困難な人」の図書館・学校図書館を中心と した読書環境の整備の方向性について、同法の基本理念を軸に会議での検討を重ねてきた結果がまとめられています。(詳細は P.20) (3) 第4期横浜市教育振興基本計画の策定(令和5年2月) 横浜市教育委員会では、2030年頃の社会を見据えて、横浜の教育が目指すべき姿を描いた「横浜教育ビジョン 2030」(平成 30年策定)のアクションプランとして、「第4期横浜市教育振興基本計画」(計画期間: 令和4年度〜令和7年度)を令和5年2月に策定しました。 第4期横浜市教育振興基本計画では、児童生徒一人ひとりの多様性を尊重し、つながりを大切にした教育の推進を目的としています。 図書館では、図書館の在り方に関するビジョンの策定、電子書籍の充実や ICTを活用したサービスの拡充、学校では、学校図書館の環境や資料等の充実や学校司書 ※5や司書教諭 ※6の研修の充実、全市的には、市 民が読書に親しむ機会の創出などの取組が挙げられています。 (4)横浜市図書館ビジョンの策定(令和6年3月) 近年、図書館には、資料の収集と提供だけでなく、市民が気軽に集い、交流する「居場所」としての機能や、居心地よく豊かな時間が過ごせる場としての役割も期待されるようになっています。また、市民の皆さま が図書館に求める環境・施設やサービスも多様化しています。加えて図書館には、増加傾向にある物流への対応や、蔵書の質・量の充実と収容能力の確保、電子書籍への対応など様々な課題があります。 こうしたことを踏まえて、横浜市では 10〜20年後を見据え、中長期的な社会の変化を展望し、これからの図書館の「目指す姿」や「取組の方向性」を示すものとして、令和6年3月に「横浜市図書館ビジョン」を 策定しました。 5学校司書 …学校図書館法第6条で定められた専ら学校図書館の職務に従事する職員。 6司書教諭 …学校図書館法第5条で定められた、学校図書館の専門的職務をつかさどる教諭。 ■新たな図書館像 これからの図書館は、読書を通じて「知る・学ぶ・深める」ができるのはもちろん、居心地よく自由に過ごすことができる、多様な人々の「つどう・憩う」場になります。「遊ぶ・体験する」ことができ、「まちと つながり・交流」もできる“わくわく”を見つけられる場になります。さらに「連携・協働」して、新しい“わくわく”を創り出せる、子どもから大人まで、みんなが主役になれる場となっていきます。 ■5つの基本方針 基本方針1未来を担う子どもたちのための図書館 基本方針2あらゆる市民のための図書館 基本方針3まちとコミュニティのための図書館 基本方針4利用しやすい図書館サービス 基本方針5柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する図書館 (1)第二次読書計画重点項目の振り返りと今後の方向性について 第二次読書計画では、4つの重点項目を基に読書活動推進の取組を進めてきました。 計画期間中における、各重点項目の主な取組状況は以下のとおりです。なお、各表の「当初値」 は、平成 30年度の数値を表し、「目標値」は令和5年度末時点の目標を表しています。また、令和 2年1月に新型コロナウイルス感染症が国内で初めて確認され、その後令和4年度まで読書活動に 大きな影響を及ぼしました。 重点項目1子どもの発達段階に応じた読書活動の推進【振り返り】 〇学校図書館の「来館者数」、「貸出冊数」は新型コロナウイルス感染症拡大による休校などの影響で減少しました。来館者数は、新型コロナウイルス感染症拡大前の数値に戻ってきましたが、児童生徒が一人一台 端末を用いて情報収集する力を身に付けたことで、貸出冊数は減少したと考えられます。【図表1】【図表2】 〇「学校図書館が好きと答えた市内小中学生の割合」、「1日のうち読書を「している」と回答した市内小中学生の割合」は目標値を更新し、第二次読書計画の目標を達成しました。学校図書館の資料の充実に向け た取組や、学校司書による授業支援の実践の成果と考えられます。【図表3】【図表4】 【今後の方向性】 子どもの読書機会や本を手に取る機会の充実に努め、学校図書館の図書や情報等を授業においても利活用することを継続して推進します。また、電子書籍サービスの導入の検討を進め、読書に親しむための多様な方 法を提示する等、さらなる読書活動の推進を図っていきます。 重点項目2成人の読書活動の推進と担い手の拡大(ア)図書館の登録者数と貸出冊数【振り返り】令和5年度の図書館の登録者数は約 73万人であり、市の人口約 377万人の約 20%にあたります。年間の個人貸出冊 数は約 1,100万冊、うち児童書は約 390万冊で、年間貸出冊数の約 35%を児童書が占めています。電子書籍の利用は約 16万件あり、広域相互利用 ※7による貸出は約 56万冊です。登録者数は減少傾向にありますが 、貸出冊数は、電子書籍サービスの開始や、令和4年度に貸出冊数を6冊から 10冊に変更したことなどに伴い、増加傾向にあります。(令和5年度は図書館情報システムの更新に伴う臨時休館の影響により減少)【 図表5】 図書館におけるサービス拡充の変遷 令和2年 11月 町田市との「図書館の相互利用に関する協定」の締結 令和3年3月 逗子市との「図書館の相互利用に関する協定」の締結⇒隣接する全7市との「図書館の相互利用に関する協定」締結完了 電子書籍サービスの開始 視覚障害者向けオンラインによる対面朗読サービスの開始 令和4年1月 日吉図書取次所「日吉の本だな」の開設( P.16参照) 中央図書館1階を「交流と学びのフロア」としてリニューアル 令和4年4月 移動図書館「はまかぜ2号」 ※8の運行開始 貸出冊数を6冊から 10冊に拡大 郵送による利用者登録・登録更新手続きの開始 令和6年1月 図書館情報システムのリニューアル ⇒AI蔵書探索を全国で初めて開始デジタル図書館カードの運用開始オンラインによる利用者登録・登録更新申請手続きの開始 7広域相互利用 …横浜市と隣接する7市(川崎市・鎌倉市・逗子市・藤沢市・大和市・横須賀市・町田市)と、相互の市民が直接各自治体の図書館で本を借りられるように協定を結んでいます。 8移動図書館はまかぜ号 …本棚を取り付けた特別仕様の車で、約 3,000冊の図書を積載することができます。図書館から遠い地域を中心に、令和6年度時点で市内 30か所を定期的に巡回しています。 【今後の方向性】 令和3年から開始した電子書籍サービスの貸出冊数は増加しており、今後も新たなコンテンツの拡充により、利用促進を図っていきます。また、図書館情報システムの更新を契機とし、利用手続のオンライン化や、 AIを活用した蔵書探索サービスの提供などを開始しました。より多くの市民の皆様に図書館をご利用いただけるよう、引き続きデジタルを活用したサービスを展開していきます。 (イ)読み聞かせ、朗読等ボランティアの活動人数【振り返り】 図書館と連携した事業での「読み聞かせ、朗読等ボランティアの活動人数」及び市民利用施設での「読み聞かせ、朗読等ボランティアの1館あたりの平均活動数」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減 少しましたが、回復傾向にあります。【図表6】【図表7】 図書館と連携した事業での「読み聞かせ、朗読等ボランティアの活動人数」は、ボランティア向けの講座や交流会等の実施を通して、読書活動に携わる人のすそ野を広げ、活動の機会を増やしていきます。 市民利用施設での読み聞かせ・朗読等ボランティアの活動支援は引き続き継続します。第三次読書計画では、活動支援に加え、読書活動を推進する多様な主体との連携も拡大していきます。 重点項目3読書活動の拠点の強化と連携【振り返り】 〇図書館でのグループ貸出※9、学校向け貸出 ※10の冊数は、新型コロナウイルス感染症の影響により、目標値を下回りました。中央図書館では、学校向けサービスとして、「母語セットの貸出※11」を開始し、外 国につながる児童生徒が読書に親しむ機会を支援しました。 〇地域や学校と継続的に連携し、ボランティア向けの研修や講座を行うことによって、図書の活用に向けた土壌づくりを行いました。 成果指標 当初値 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和 4年度 令和5年度 目標値 合計 95,404 87,643 62,208 76,233 83,279 81,497 99,000 図書館でのグループ貸出、学校向け グループ貸出 49,768 47,151 27,201 38,283 48,525 51,647 ― 貸出の合計冊数 学校向け貸出 45,636 40,492 35,007 37,950 34,754 29,850 ― 【今後の方向性】 グループ貸出や団体貸出※12を活用した子育て関連施設などへの支援を強化するとともに、引き続き学校と連携し、地域や学校の読書活動を推進していきます。 重点項目4区の地域性に応じた読書活動の推進【振り返り】 第二次読書計画時の成果指標である区の活動目標の推進について、全区において第二次読書計画の期間中に活動目標の更新を行いました。全区で取組の情報共有を行いながら、地域性に応じた読書活動を推進しまし た。 【今後の方向性】 引き続き、地域性に応じた読書活動に対するニーズを捉えて、区役所・図書館・学校が連携して、区の活動目標を定め、効果的な読書活動の取組を進めます。 9グループ貸出…市内で読書に関する活動を行う会員5人以上のグループを対象に、一度に 30冊まで、 30日間、図書 の貸出を行う図書館のサービス。 10学校向け貸出 …市立学校教職員を対象に、40冊まで、30日間図書の貸出を行う図書館のサービス。 11母語セットの貸出…外国につながる児童生徒の母語による読書活動を支援 するため、国際教室が設置されている市立 小中学校向けに、母語で書かれた図書ややさしい日本語で書かれた図書等の貸出を行う図書館のサービス。 12団体貸出 …地域の自主的な読書活動を支援することを目的に、自治会・町内会や地域文庫等の社会教育 団体などへ、1団体につき 500冊まで、1年間、図書の貸出を行う図書館のサービス。 第二次計画時における、各区の主な取組 鶴見区 NHK連続ドラマ小説「ちむどんどん」で鶴見と沖縄が舞台となったことを契機に、区や JICA横浜とも連携し、沖縄関連の6イベントを開催(展示、おはなし会、講演会、クイズラリーなど)しました。 各区の読書目標は、本市のホームページからもご覧いただけます。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/shimindokusho.html#5DB70 第二次計画時における、各区の主な取組 各区の読書目標は、本市のホームページからもご覧いただけます。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/shimindokusho.html#5DB70 第二次計画時における、各区の主な取組 各区の読書目標は、本市のホームページからもご覧いただけます。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/shimindokusho.html#5DB70 【コラム図書取次サービス実施場所について】 「図書取次サービス」は図書館以外の場所で予約した本の受取や本の返却ができるサービスで、市内 11か所で実施しています。 11か所目の日吉図書取次所(日吉の本だな)は令和4年1月に開所しました。日吉図 書取次所では、本の受取や返却に加えて、港北図書館がおすすめの本展示や、おはなし会・朗読会、絵本づくり講座などの企画事業を、港北区役所や地域の団体と連携しながら行っています。また、本や図書館に関 する相談や図書館カードの登録会を開催する等、利用促進にも取り組んでいます。令和6年度中には、新たな図書取次所をららぽーと横浜(都筑区)に開設する予定です。 「日吉の本だなの展示スペースおよび企画スペース」 (2)第三次読書計画策定に向けたアンケート等の実施についてア横浜市民読書アンケートについて横浜市民の読書活動の現状を把握するため、令和6年7月から8月にかけてアンケート調査を実施しました。アン ケートは子ども向け(小学校5年生〜高校3年生)と大人向け( 18歳以上)の2つに分けて実施し、 2,856人の方に回答をいただきました。 ●子ども向けアンケートの主な質問項目と結果 あなたは本を読むことが好きですか、という問いに対して、「好き」と答えた人が最も高く(54.5%)、過半数を占めました。「どちらかというと好き」を含めると約 85%が本を読むことに対して好意的な反応でした。 また、本を好きになったきっかけの問いに対しては、「小さいころ、親や周りの大人に本を読んでもらったから」と答えた人が 47.7%と最も多く、次いで「わからない」が 41.3%、「親や友だちと図書館に行った から」が 20.8%、「先生や学校図書館の司書にすすめられたから」が 12.0%、「本のイベントに参加したから」が 12.0%の順でした。 ●大人向けアンケートの主な設問と結果 年間にどのくらい本を読みますか(電子書籍も含む)、という問いに対して「年に数冊程度」と答えた人が最も高く( 38.4%)、「月に数冊程度」が 36.1%、「読まない」が 12.8%、「週に数冊程度」が 12.6%とい う順でした。 年代別に見ると、「週に数冊程度」の比率が最も高いのは 20歳代であり( 28.2%)、「読まない」の比率が最も高いのは 18歳(高校生を除く)、19歳でした( 31.6%)。年代が高くなるにつれて「読まない」の比 率は低くなる傾向にあります。 また、これまでを振り返って、今の読書習慣はいつの時期から始まっていますか、という問いに対しては、「小学生」と答えた人が最も高く(34.9%)、「乳幼児期」(20.0%)、「読書習慣はない」(16.1%)、「 18歳以上(高校生を除く)」(17.8%)、「中学生」( 6.2%)、「高校生」(5.0%)という順になりました。 イワークショップの開催について 子どもの部と大人の部の2部構成で実施し、参加者の読書活動の現状や読書をするきっかけ等について語り合いました。子どもの部では「みんなが本を読みたくなるにはどんなしかけやイベントがあると、より本を 楽しく読めるようになるか」をテーマにグループディスカッションを実施しました。「絵本などの子どもが大好きな要素を取り入れたイベントの実施」「生徒同士で読んでいる本を紹介しあい、新しい本を知れると いい」「本好きの同世代が集まり、お勧め本や本の魅力について話し合えるイベント」といった様々な意見がありました。 大人の部では「子どもたちが本を楽しく読めるようになるには」「本を介した交流や企画、どんなイベントがあると本を読むきっかけになるか」のテーマに分かれてグループディスカッションを行いました。 「子どもたちが本を楽しく読めるようになるには」をテーマにしたグループからは「学校では読み聞かせ、ストーリーテリングなど本の世界への興味を高める活動」「親子で参加できる読書イベント(多様な生活ス タイルに合うよう開催を工夫)があるといい」といった意見がありました。 また、「本を介した交流や企画、どんなイベントがあると本を読むきっかけになるか」をテーマにしたグループからは「読書会の活性化(多様なテーマでの開催、会情報を集約して発信、開催したい人の支援)」「 もっと読書の魅力を伝えたい、本について話せる機会がほしい」といった意見がありました。 ●7月 28日(戸塚区:戸塚地区センター) 子どもの部大人の部 ●8月3日(都筑区:中川西地区センター) 子どもの部大人の部 (4)第 33期社会教育委員会議提言について 第 33期社会教育委員会議の提言では、横浜市における視覚障害者等の読書環境の整備状況や読書バリアフリー法の基本理念に関連する取組の実施状況を踏まえ、従来からの取組を今後も継続的に実施するものなど を「基本的な取組」としました。 また、この「基本的な取組」を基盤とした上で、特に重点的に推進していくものを「重点取組」として位置付けました。 【提言で示された基本的取組】 1視覚障害者等が利用しやすい書籍等及び読書支援機器の拡充 ・視覚障害者等が利用しやすい書籍等や読書支援機器の拡充・市立図書館による視覚障害者等が利用しやすい書籍等の学校図書館への貸出・視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作人材の育成 2視覚障害者等が利用しやすい書籍等を誰もが利用できる環境づくり ・市立図書館の活字資料での読書が困難な人へのサービスの対象拡大に関する周知・一般利用が可能な視覚障害者等が利用しやすい書籍等の周知・視覚障害者等の読書環境整備に必要な用具の給付 3円滑な図書館利用のための合理的配慮 ・市立図書館における視覚障害者等へのサービスの充実・市立図書館の施設整備や改修における、視覚障害者等の円滑利用への留意・学校図書館における、児童生徒、教職員のニーズ等に応じた円滑な図書館利用の ための支援 【提言で示された重点取組】 重点取組1連携・協働による視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作 ・民間事業者等と連携した視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作 重点取組2インターネットサービスの利用促進 ・「サピエ図書館」「国立国会図書館」のインターネットサービスの利用支援の充実・学校におけるインターネットサービス利用支援の充実 重点取組3図書館職員、司書教諭、学校司書等の人材育成 ・市立図書館における職員の人材育成・学校における司書教諭、学校司書等の人材育成 重点取組4効果的な広報・啓発戦略 ・各種支援情報の一元化・見える化・「誰一人取り残さない」ための情報発信・地域共生社会の実現に向けた読書バリアフリーへの理解促進 【コラムバリアフリー図書の紹介及び本市の取組について】 バリアフリー図書とは、障害の有無に関わらず、誰もが読書を楽しめるように作られた書籍のことです。このコラムでは、バリアフリー図書及び本市の取組を紹介します。 1バリアフリー図書の紹介 「目で読む」「触って読む」「耳で読む」「目と耳で読む」に分けて紹介します。 【目で読む】 ●大活字本目の見えにくい方にも読みやすいように、大きな文字で書かれた本です。 ●LLブックやさしい言葉で分かりやすく書かれた本です。ピトグラム(絵文字)や写真・図を使って理解しやすく書 かれています。 【触って読む】 ●点字図書 点字に翻訳された本です。点を使って図や絵に表したものを「点図」といいます。点字と点図を透明なシートに打って、絵本に貼った「点訳絵本」もあります。紙の本のほかに点字データもあります。 布の絵本『たのしいどうぶつえん』製作:よこはま布えほんぐるーぷ ●布の絵本・さわる絵本 布・革・毛糸などを用いて作られた絵本で、触って絵の形が分かるようになっています。ボタンをとめたり、ひもを通すなどの仕掛けがあるものもあり、楽しみながら読むことができます。 【耳で読む】 ●音声デイジー 本の内容を録音して音声にしたものです。図や写真の説明も入っています。パソコンやタブレット・スマートフォン、専用機器などを使って、読むことができます。 ●読み上げ対応の電子書籍・オーディオブック 電子書籍の中には、音声合成機能で読み上げられるものがあります。また、文字の大きさ・色・背景の色を変えることができるものもあります。 オーディオブックは、本の内容を朗読した音声データです。パソコンやタブレット、スマートフォンなどで聴くことができます。 【目と耳で読む】 ●マルチメディアデイジー 本の内容を録音した音声を、その部分の文字や画像をハイライトしながら一緒に読むことができます。パソコンやタブレット、スマートフォンなどを使って読むことができます。 ●テキストデイジー 文字情報(テキストデータ)を音声合成機能で読み上げるものです。パソコンやタブレット、スマートフォン、専用機器などを使って読むことができます。パソコンやタブレットで再生アプリケーションを使って読 む場合は、文字の大きさや背景の色を変えたりすることができます。再生アプリケーションによっては、読み上げている部分をハイライトさせることもできます。 マルチメディアデイジーを再生している様子わいわい文庫 2022 Ver.BLUE『三郎丸の大くすとカッパ』協力:福岡女子短期大学 ●りんごの棚 りんごの棚とは、特別な配慮を必要とする子どもが利用しやすい本を集めた棚のことです。 1993年にスウェーデンで始まりました。棚の名前の由来は、言語障害のある子どものために作られたりんごのおもちゃか ら付けられました。本市の図書館では、大活字本、LLブック、点字図書、さわる絵本などを展示しています。 2本市の取組 ●読書バリアフリー展の開催 バリアフリー図書の体験等を通して、読書バリアフリーについて分かりやすく伝える企画展示を、令和5年9月〜 10月に市庁舎2階プレゼンテーションスペースで開催しました。その後、中央図書館や各区の図書 館でも開催しています。 アンケートでは、「色々な工夫がなされた本があることを知り、勉強になった」といった感想をいただきました。 ●西区学校向け「読書バリアフリーセット」の貸出(令和5年度)中央図書館では西区役所と連携して、市立小中学校向けに「読書バリアフリーセット」を作成しました。 LLブック、点字やピグラムつきの絵本の他、マルチメディアデイジー、リーディングトラッカー(※)など、さまざまな読書のカタチに児童生徒が出会えるよう、図書館司書が先生に対し、本や機器の使い方を事 前説明してから利用いただいています。 ※リーディングトラッカー読みたい特定の行に集中して読めるように、両隣の行の文字を隠して読み進めることができる機器のこと。 第三次読書計画を推進するにあたっては、第二次読書計画の重点項目や取組等を継続しつつ、社会環境の変化を踏まえ、地域資源やデジタル技術を活用して、アクセスしやすい環境づくりを進め、年齢や、障害の有 無、国籍等に関わらず、活字に親しめるよう、次の4つの基本姿勢を基に、読書活動を推進します。 1デジタル社会に対応した読書環境の整備の推進 年齢や、障害の有無、国籍等に関わらず活字を楽しめる環境づくりに向けて、デジタルを活用 した読書環境を充実し、紙媒体だけでなく電子書籍等を柔軟に選択することができるよう取り組 みます。 ※本市では令和3年に図書館で電子書籍サービスを開始したことや、令和6年に株式会社ポプラ社と協定を結び、小中学校9校で同社の運営する電子書籍読み放題サービスの「 Yomokka!(よもっか!)を試行導入す るなど、電子書籍の活用を推進しています。(P.25コラム参照) 2区の地域性に応じた読書活動推進 地域性に応じた読書活動に対するニーズを捉えて、区役所・図書館・学校は連携して、区の活動目標を定め、効果的な読書活動の取組を進めます。 3協働・共創による読書活動推進 様々な主体と協働・共創の視点を持って連携し、互いの特性を生かしながら、横浜らしい読書活動の推進に取り組みます。 4読書活動推進を支える人材の育成 年齢や、障害の有無、国籍等に関わらず、すべての市民が文字・活字文化の恩恵を受けることができるよう、デジタル技術に関する能力開発も含めた人材育成に取り組みます。 【コラム人材育成】●司書職人材育成ビジョンの策定(令和6年4月) 横浜市図書館ビジョンを実現するために、図書館の司書の活躍が期待されます。本・情報に関する専門性を高めるだけでなく、デジタル活用や交流・協働・共創を進める能力を高めていくことは、変化し続ける図書 館を支えるために、司書の能力として欠かせないものです。そのため、司書職人材育成ビジョンを令和6年4月に策定しました。第三次読書計画を進めるにあたっても、司書職人材育成ビジョンに基づき人材育成に 取り組んでいきます。 ●学校司書研修 学校図書館の運営、読書活動の推進、児童生徒理解に関する研修等を年度当初に行っています。年間 10回程度、学校図書館の環境整備や読書活動、授業支援等について学びます。講師には、指導主事や市立図書館 司書をはじめ、その専門の外部講師などを招いています。研修の内容に応じて、研修形態を設定しています。また、司書教諭と合同で実施する研修では、自校の取組についての協議や共通理解を図る時間を設定して おり、協働・連携への意識をより高めています。 【コラムデジタル社会に対応した読書環境の整備について】 本市ではデジタル社会に対応した読書環境の整備を進めるべく、様々な取組を行っています。 ●図書館での電子書籍サービスの開始(令和3年3月) 市立図書館では、令和3年から電子書籍サービスを導入しています。横浜市に在住、在勤、在学の方で、横浜市立図書館の有効な図書館カードをお持ちの方は、申込み不要で電子書籍を利用することができます。電 子書籍には次のようなメリットがあります。【Point1】いつでもどこでも、あなたのいる場所が図書館に。・24 時間いつでもどこでも、好きな時に好きな場所で気軽に読書を楽しむことができ、読みたい、知りた い、調べたい、に応えてくれる。・スマートフォンやパソコンがあれば利用できるので、返却時に沢山の本を抱えて図書館に来館する 必要がない。【Point2】多様なコンテンツを提供・15,000点(令和5年度末時点)を超える様々なコンテンツを取り揃えている。・耳で読書を楽しむことができるオーディオブック、文字の拡大や色の反転機能、 読み上げ対応がで きるテキスト版サイト、多言語対応しているコンテンツもある。・紙の本では市立図書館に所蔵していないコンテンツも多数取り揃えている。【Point3】新たな読書体験・紙の本とは異なったラインナップ、様々 な機能、スマートフォンや タブレット端末、パソコン等で利用できることにより、これまでの紙の本での読書とは異なった、新たな読書体験を得ることができる。 ●Yomokkaの利用について(1人1台端末での電子書籍の活用) Yomokkaとは株式会社ポプラ社が“いつでも、どこでも、好きなだけ!”をコンセプトに、子どもたちの読書環境を支え、新たな読書体験を提供することを目指した、読み放題型電子書籍サービスです。サービス導 入によるメリットは以下のとおりです。【Point1】子どもが手に取れる本が増える!・「いろいろな本を読みたい」という子どもたちの多様な興味に応えられる。・本の配架スペースを必要としないため、物理的 な制約を受けずに利用できる図書が増える。【Point2】同じ本を何人でも同時に読める!授業等での活用の幅も広がる!・1人1台端末を活用して、学校図書館以外の場所でも読書ができる。・クラス全員が同じ本 を読んで感想を共有したり、朝の読書タイムや調べ学習等でも活用できる。【Point3】多様な子どもたちの読書機会の確保!(読書バリアフリー)・一部の電子書籍で文字の大きさ・色、背景の色を変えることがで き、図鑑なども拡大して見ることができる。・内容を音声で聴くことができる読み上げ機能が一部搭載されている。 学校図書館だけでなく、1人1台端末で教室など、朝読書や調べ学習、授業での活用も!どこでも読書を楽しむことができます。デジタル社会に対応していくため、これからも様々な取組を進めていきます。 第三次読書計画は「子ども読書法」・「読書条例」・「読書バリアフリー法」の3つの法律・条例を踏まえながら進めていくため、第二次読書計画から3つの根拠法令に合わせる形に再編し、3つの柱と5つの施策 で構成します。 【第二次読書計画から第三次読書計画への再編イメージ】 ●指標一覧 客観的な根拠に基づく読書活動を推進するため、計画期間内に実施した施策の成果等を測る一つの基準として、次のとおり数値を設定します。 .施策の目標・方向性 学校の教育課程の展開に寄与する学校図書館の機能を果たし、子どもの実態に応じて、授業での学校図書館の利活用を推進します。様々な他者と協働しながら子どもの読書機会を創出するとともに、子どもとともに 創り上げる読書活動の取組を推進します。外国籍、外国につながる児童生徒や、個別支援を必要とする児童生徒数の増加により、読書のカタチはより多様になることが想定されることから、子どもの読書環境の充実 をより一層推進します。 .現状と課題 .令和2年度『学校図書館の現状に関する調査』公表結果では、学校図書館図書標準の達成率の全国平均が小学校 71.2%、中学校 61.1%であるのに対し、横浜市は、小学校 11.9%、中学校 35.7%と大幅に下回っ ている状況が見られます。ただし、図書標準を 100%として蔵書状況を考えたとき、総蔵書数と総学級数から令和5年度の蔵書状況をみると、小学校は 83.8%、中学校は 92.9%であり、図書標準達成に向け、各校 において継続して取り組んでいるところです。各校の教育課程の展開に寄与する学校図書館の機能を果たすため、多様な子どもの実態に応じた様々な図書を整備し、決して子どもの読書機会が奪われることのないよ う、学校図書館の図書の充実が求められています。学校における書架や図書は限られていることからも、図書館からの教職員向け貸出や近隣校との図書の貸借についても、利用の方法を周知し、図書の活用が図られ るように継続した支援が必要です。 61.1 60 37.7 35.7 40 20 0 小学校中学校全国 市(令和2年度)市(令和5年度) また、外国につながる児童生徒数は、(令和5年5月1日現在)1万人を超えており、令和2年度以降増加傾向が続いています。さらに、個別支援学級に在籍する児童生徒数は、令和2年度の 8,286名と比較して、 令和5年度には 11,457名に増加しています。読むことに困難さを抱える児童生徒や外国語を母語とする児童生徒が手に取れる図書を配架するなど、多様な子どもたちの読書機会の確保につながるよう、読書環境の より一層の充実が求められます。 .令和5年度横浜市学力・学習状況調査における生活意識調査では、一日のうち読書を「している」と回答した市内小中学生の割合は、第二次計画における当初値(平成 30年度)との比較では、学校司書の配置によ る効果から小学校 74.7%、中学校 56.9%と増加しました。一方、令和4年度と令和5年度を比較すると、小学校においては横ばい、中学校においては減少傾向が見られます。国語における読書単元での本の紹介や ポップ作りなど、学習を通して得た力は、委員会活動や他教科等とも関連させながら発揮できるようにすることが大切であり、各教科等においても、様々な本や資料、新聞などから得た情報を活用する授業実践、学 校の教育活動と図書とをつなぐ取組や読書機会の創出の好事例は積極的に共有を図り、各校において参考・還元されることが望まれます。 .より多くの子どもたちが読書に親しむことができるよう、司書教諭・学校司書・ボランティアが連携して行う読書活動や、学校内の読書環境整備、学校図書館の利活用の促進を引き続き進めていくことに加えて、 子どもたちの実現したい学校図書館像や読書活動について、子どもの声も積極的に活用する取組を実施し、子どもとともに読書活動を推進していくことも必要です。 .学校司書が全校に配置された平成 28年度から、「学校図書館の平均貸出冊数」は令和元年度を除き、常に 7,000冊を超えています。また、「「学校図書館が好き」と答えた市内小中学生の割合」は、70.6%(平成 30年度)から 78.8%(令和5年度)に大幅に増加しており、学校司書は子どもの読書活動を支える大切な役割を担っているといえます。一方、社会の状況の変化が激しい時代において、様々な図書による読書への 案内、情報活用能力の育成支援等、各学校において必要となる力は多岐にわたり、学校における教職員や子どもからのニーズも多様化しています。配置から 12年を迎え、多様な子どもたちのニーズに応えるために も、学校司書は経験年数に応じて、より一層のスキルアップを図る必要があります。 .主な取組 1 読書環境の充実 学校の教育課程の展開に寄与する学校図書館の蔵書構築を進め、適切にその更新や廃棄を行いながら、子どもの実態に応じた様々な図書の整備に努めます。また、図書館は学校図書館支援など学校との連携事業に取 り組みます。 取組項目 .一人一台端末を活用した電子書籍の導入 .学校図書館の資料の充実 .近隣校で学校図書館の相互利用の検討 .図書館による学校図書館の図書選定支援、学校向け図書の貸出 .学校や関係機関と連携し、児童生徒の ニーズに合わせた支援事業を実施 2 読書への関心を高めるきっかけづくり 各校の実態に即して展開する各教科等における、様々な本や資料などから得た情報を活用する授業実践や国語の読書単元での学習活動、学校の教育活動と図書とをつなぐ取組や読書機会の創出の好事例等を、市内に おいてデータベース化し、各校が参考とすることで読書活動推進の機運をさらに高めます。 取組項目 .学校図書館を活用した授業づくり .本の紹介を行う取組など本に親しむきっかけとなる取組 .児童生徒同士が本を紹介し合う取組) .「はまっ子読書の日」等による読書活動の推進 3 多様な子どもたちの読書機会の確保 学校図書館は、読むことに困難さを抱える児童生徒や外国語を母語とする児童生徒が手に取れる図書や、必要に応じてアクセシブルな図書を整備するなど、多様な子どもたちへの読書機会を確保する工夫に努めます。 (例LLブック・点字・手話・多様性の本・マルチメディアデイジー用タブレット端末等)また、日本語支援拠点施設「ひまわり」や国際教室、中学校夜間学級など、日本語の指導が必要な児童生徒が読書に親しめ るよう、学習に利用できる図書や、母語で読むことのできる図書の整備に努めます。図書館は、外国につながる児童生徒の読書活動を支援します。 取組項目 .障害特性や発達段階に応じた読書環境の整備 .図書館による学校への「母語セット」の貸出 4 子どもの視点に立った読書活動の推進 学校の児童会・生徒会活動等においても、子どもの目指す学校図書館像や取り組みたい読書活動の実現に向けた、多様な他者との協働、自主的・実践的な取組、校種を超えた学校間での交流等、子どもからの声を積 極的に活用する取組を実施します。 取組項目 .子どもの意見聴取の機会の確保 .図書委員が参画した読書活動推進の取組 5 子どもの読書活動を支える人材の育成 多様な子どもたちへの読書機会確保のために、研修実施や事例発信により、司書教諭や学校司書のスキルアップを図ります。校内における連携・協働を基盤として、多様な他者との連携・協働および情報共有を図り、 学校図書館の利活用推進と読書活動推進に生かすための研修を実施します。 取組項目 .学校図書館を活用した授業づくりや本に親しむきっかけとなる取組の先進事例の情報提供・情報共有 .図書館と連携した読み聞かせや本の修理等の学校ボランティア向け講座の開催 .図書館と連携した、司書教諭・ 学校司書に対する研修の充実 家庭・地域における子どもの読書活動の推進 .施策の目標・方向性 区役所、図書館、学校が連携して、子ども達のニーズを共有し、子どもたちが求めている企画を実施し、子どもが読書を身近に感じることができる機会を創出します。また、家庭における読書活動が促進される取組 を進めるとともに、図書館をはじめとする身近な施設や地域において、子どもが読書に親しみ楽しむことができる機会を創出します。 .現状と課題 .子どもの頃(就学前から中学時代)に読書活動が多かった人は、大人になっても1か月に読む本の冊数が多い傾向があるとともに、子どもに読み聞かせをするなど、読書活動を通じた子どもとの関わりが多いこと が分かっています。(国立青少年教育機構「子どもの読書活動と人材育成に関する調査研究」報告書(平成 25年)) 令和6年度に行った市民アンケートでは、今の読書習慣の開始時期が早い回答者ほど、「週に 数冊程度」の本を読む比率が高い傾向にありました。また、今の読書習慣の開始時期が早い回答 者ほど、「週に 3〜4回程度」以上子どもと読書する比率が高い傾向にありました。 子どもの頃に読書習慣を身につけることが、生涯にわたって読書に親しみ、読書を楽しむ習慣を形成する上で重要と言えます。子どもが読書習慣を身につけられるよう、家庭での読書活動が促進される取組を行うと ともに、図書館をはじめとする子どもにとって身近な場所(地域)において読書活動を推進する取組を行う必要があります。 .乳幼児期から学齢期の子どもにとっては、身近な存在である保護者や、保育者等とともに読書に親しむことが有効です。図書館では、乳幼児期の親子で参加するおはなし会の開催や乳幼児健診等を活用した0〜3 歳児向けのわらべうたや絵本を紹介したブックリストの配布など、読み聞かせの大切さを伝える取組などを行ってきました。また、地域子育て支援拠点など地域の様々な施設においても、ボランティア等との連携に よる読み聞かせ・おはなし会が行われており、今後も身近な地域での取組が充実するよう、支援を行っていく必要があります。 .学齢期の子ども向けに、図書館では、小学校(低・中・高学年)、中学生等、それぞれの年齢・年代向けにおすすめの本のブックリストを毎年度作成・配布しました。また、ホームページでの毎月のおすすめの本 の紹介や令和4年度からはティーンズ向けにインスタグラムでの情報発信を開始しました。今後は、デジタル媒体を活用した情報提供の充実が必要です。 .図書館が実施した子育て世代向けアンケート(令和4年 11月)では、子育ての中で、子どもの本選びに悩む声、おすすめの本を手軽に借りたいという声が多く寄せられました。これを受けて実施した絵本の福袋な どの企画は好評で、気軽に楽しく本が借りられる取組や、ホームページや SNS 等を通じた本の紹介などの情報提供を充実していく必要があります。 .読書の楽しみを発信するとともに、多様な知や人・文化との出会いや体験を通して、子どもたちの「知りたい」「創りたい」を引き出すような取組が、子どもの読書意欲の向上につながります。本と体験を通じて 楽しく学べる機会を充実するためにも、子どもたちの発想や意見を生かし、子どもが参画した取組を進めていくことが必要です。 .国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」では、「多様な子どもの読書活動を推進するためには、多様な機関や人々の連携・協力が不可欠」とされており、保育所、幼稚園、市民利用施設、ボランテ ィア団体、大学、民間事業者など様々な主体との連携が求められています。 参考:乳幼児期の読み聞かせが、その後の読書活動に影響を与えるデータ 入学前の読み聞かせ日数別一日の読書時間(小学1年生〜中学2年生追跡調査) 入学前に週4日以上読み聞かせ 入学前に週1〜3日読み聞かせ入学前に週一日未満読み聞かせ 30 25 20 15 「子どもの生活と学びに関す 10 11.3 る親子調査」 5 (東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所) 0 小学1年小学2年小学3年小学4年小学5年小学6年中学1年中学2年調査年:平成 27年から令和4年 .主な取組 1 読書環境の充実 図書館は、乳幼児期から小・中・高校生世代まで、子どもたちの年齢ごとの興味関心に応じた子どもの本を充実します。また、子育て世代が図書館を利用しやすいサービスを検討します。 取組項目 .図書館の子どもの本の充実 .子どもと保護者が利用しやすいサービスや居心地のよい空間の提供 .子育て世代に適した情報発信 .デジタル技術等を活用した、読書に興味を持ってもらうための仕組みづくり .団体 や企業等と連携した新しいサービスの提供 2 読書への関心を高めるきっかけづくり .乳幼児期 乳幼児がはじめて本と出会う場所として、子どもと保護者が読書に親しめる機会を提供します。 取組項目 .子どもと保護者が楽しめるおはなし会等のイベントの充実 .子どもの成長に合わせた年齢別のブックリストの提供と活用事業 .手軽に借りることのできる乳幼児向け絵本セットの提供 .地域子育て支援拠点との連 携や育児教室などの機会を活用した子どもと保護者で本に親しむことの大切さを伝える取組の実施 3 読書への関心を高めるきっかけづくり A小・中・高校生世代 読書を通じて知識と体験をつなぎ、子どもたちの「知りたい」「創りたい」気持ちを引き出し、子どもたちの読書と学びを支えます 取組項目 .学齢期に合わせたブックリストの作成(または提供)と活用事業 . SNS等を活用した情報発信 .読書の楽しさに関連した「知りたい」「創りたい」気持ちを引き出す体験型イベントの開催 .小・中・高校生世代が 参画する企画事業等の実施 4 多様な子どもたちへの読書機会の確保 読む・知る・体験することへのバリアを取り除き、多文化共生の視点も含めて多様な子どもたちのニーズに応じた読書機会を提供します。 取組項目 .やさしい言葉で分かりやすく書かれた本やさわる本などを集めた「りんごの棚」の図書館全館での設置 .多様な子どもたちを対象とした読書活動の推進 .多言語の児童書やバリアフリー絵本などの充実 5 子どもの視点に立った読書活動の推進 子どもの視点に立った読書活動の推進の取組を行います。また、子どもが参画した読書活動事業を進めます。 取組項目 .子どものアイディアを取り入れた企画事業等の実施 .小・中・高校生世代が参画する企画事業等の実施 6 身近な地域における子どもの読書活動の促進 身近な市民利用施設や子育て関連施設等での読書活動を促進するため、子どもの本の選書支援やグループ貸出、協働・共創による子ども向け読書イベントの実施などに取り組みます。 取組項目 .図書館の団体貸出、グループ貸出を活用した市民利用施設や子育て関連施設等への支援 .市民利用施設や子育て関連施設等との連携による子ども向けの読書イベントの開催 .施策の目標・方向性 市民一人ひとりが読書に親しみ、必要な情報を得ることができる「知の拠点」として、図書館の蔵書、提供する情報を充実するとともに、居心地よく過ごすことができる場を提供していきます。また、デジタル技術 を積極的に導入し、図書館を利用したことのない方々にも興味・関心を持ってもらうきっかけとします。 加えて、身近で便利な場所での図書館サービスの提供を進めます。 .現状と課題 .図書館は、すべての人が知識や情報を得ることができる権利を保障する、大切な役割を担っており、楽しみのための読書を始め、市民の調査研究や課題解決に役立つよう、すべての分野にわたって本や情報を収集・ 蓄積しています。図書館の蔵書は約 410万冊ありますが、今後も、各図書館が地域の特性を踏まえた特色あるコレクション(図書館が提供する蔵書や情報)を持ち、図書館全体として、幅広くバランスの良い蔵書の 構築と、活字だけでない多様な情報の収集が必要です。 .電子書籍は、令和5年度末時点でコンテンツ数約 1万5千点を提供し、令和5年度の年間利用件数は約 16万件ありました。また、開港期に発行された浮世絵や絵葉書などを画像データ化し、デジタルアーカイブ 「都市横浜の記憶」としてインターネットで公開しています。今後も電子書籍やデジタルアーカイブなど、24時間自宅などから利用できるサービスのニーズに応えるためにもコンテンツを充実していく必要がありま す。 .本や情報の充実とともに、司書によるレファレンス、おすすめの本や課題解決に役立つ情報の提供など、本と人をつなぐための情報提供も重要です。今後も、便利に情報が得られるようにホームページや SNSを活 用した情報提供を一層進める必要があります。 .令和6年1月に新しい図書館情報システムが稼働し、オンラインでのデジタル図書館カードの発行や AIによる蔵書探索など新機能を備えました。デジタルを活用した情報サービスの充実にあわせて、市民の情報リ テラシーの支援が重要になってきます。 .図書館サービスへのアクセスを向上させるためには、図書館以外の場所で図書館の本を借りることができる図書取次所の拡充や移動図書館の巡回場所の最適化などを進めていく必要があります。 .主な取組 1 市民の読書と課題解決に役立つ蔵書と情報の充実 中央図書館・地域図書館それぞれが、地域の特性を踏まえ、市民の読書や課題の解決に応える本やデジタル情報を収集し、図書館全体として、幅広くバランスの良い蔵書を構築します。さらに、本や様々な情報を市 民の皆様につなぎ、図書館との接点を増やすために、ホームページや SNS等の多様な情報ツールを活用するとともに、関係区局や外部機関等との連携・協働により、課題解決に向けた情報発信や関連事業等を行いま す。 取組項目 .地域の特性を踏まえた特色ある蔵書の充実 .読書や調べものに役立つブックリスト・調べ方案内などの情報提供の充実 . SNS等を活用した本や図書館の企画事業等の情報発信の充実 .レファレンス事例集の充実 . オンラインデータベースの充実 .関係区局や外部機関等との連携・協働した地域の課題解決に向けた講演会・展示会等の実施 2 デジタルを活用したサービスの充実 デジタル技術を活用し、いつでもどこでも利用できる図書館サービスや読書活動につながる新たな仕組みを提供します。デジタルコンテンツの充実を進めるとともに、デジタルコンテンツを利用するための情報リテ ラシー支援に取り組みます。 取組項目 .電子書籍の充実 .デジタルアーカイブの充実 .手続きやレファレンスのオンライン活用の推進 .蔵書検索や電子書籍の使い方講座等の実施 .読書活動につながるデジタルサービスの提供 3 身近で便利な図書館サービスの拡充 図書館以外の場所でも、図書館の本を借りることができるよう、サービスを拡充します。また、地域に出向いて図書館サービスを提供する移動図書館を活用した図書館サービスを提供します。 取組項目 .図書取次所の拡充 .移動図書館の定期巡回と地域のイベント等への特別運行の実施 読書に親しみ楽しむ機会の充実 .施策の目標・方向性 図書館でのイベントの開催等のほか、市民利用施設、書店など地域の様々な主体と連携し、読書に親しみ楽しむ機会となる取組を充実していきます。また、本には、人と人とがつながり、新たな活動が行われる可能 性があることから、本を介した交流や学びあいを促進する機会をつくります。 .現状と課題 .国が全国の 16歳以上の男女を対象に実施した調査では、1か月に1冊も本を読まないと回答した割合が 62.6%と、半数以上の人が1か月に1冊も本を読んでいない状況です。普段読書をしない方に、読書への関 心を高めていただける機会をつくることが求められています。 「国語に関する世論調査」(文化庁)調査年:令和5年対象:全国 16 歳以上の男女 .第 31期横浜市社会教育委員会議からは、「本を読み、その体験を語り合う場はいわゆる「地域の居場所」「人と人との交流の場」として大きな可能性があり、このような場をさらに充実させていくことが地域のコ ミュニティづくりに寄与する」との提言がなされ、本や読書を介して人と人がつながるような取組が求められています。 .「横浜市図書館ビジョン」では基本方針3まちとコミュニティのための図書館として、「市民、団体、企業等が持つ情報・知識を集め、協働・共創により地域の魅力を引き出し、人々の暮らしの豊かさと地域の課 題解決を支援する、まちづくりのプラットホームになる」ことを目指しています。図書館は本と出会う場であるだけでなく、交流や学びあいの場としての役割も担っていくために、協働・共創を進め、地域の情報の 発信と交流を生み出す取組を進める必要があります。 .地域特性に応じたニーズを捉え、効果的な読書活動推進の取組を進めるために、区は、第二次読書計画に引き続き市民利用施設や読書活動推進団体等との効果的な連携を行う必要があります。「読み聞かせ、朗読 等ボランティアの活動人数(図書館と連携した事業)」は、平成 24 年度以降、増加傾向にありましたが、令和元年度以降は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少しています。読み聞かせ等のスキルア ップのための講座の開催や、ボランティア活動を行う場所や機会に関する情報提供などの支援の重要性が高まっています。 .主な取組 1 本と出会う機会の創出 全市的な取組として、民間企業・書店など地域の様々な主体と連携し、読書に繋がる多様なきっかけを提供します。区では、イベントの開催のほか、区内の本を利用できる場所等を紹介する取組を行います。 取組項目 .読書イベントの開催 .読書の日(毎月 23日)、読書活動推進月間(11月)に合わせたイベント等の開催 .読書活動推進月間の広報・啓発活動の拡充 .区の読書マップなど本にふれる機会となる場所等の紹介 .「二 十歳の市民を祝うつどい実行委員会」と連携した本と出会う機会の創出 2 本を介した交流や学びあい 本には、人と人とがつながり、新たな活動が行われる可能性があることから、本を介した交流や学びあいを促進する機会をつくります。 取組項目 .本を介した交流を生み出すイベントの開催 .市民、団体、企業等と連携・協働したまちの魅力発見イベントの開催 .オンラインサービスの充実による新たな本の出会いや交流機会の創出 .シニアに役立つ情報の収 集や学びの機会の提供 3 身近な地域における読書活動の促進 地域全体で効果的な読書活動推進を図るため、市民利用施設や読書活動団体等との情報交換の場や機会を設け、地域における連携を進めます。また、市民、団体、企業等との協働・共創による地域の読書活動推進の 取組を進めます。 取組項目 .市民利用施設や読書活動団体との連携のための情報交換の場や機会づくり .市民利用施設等における読書活動への支援(グループ貸出、選書情報の提供など) .市民利用施設等との連携による読書イベントの開催 .ボランティア団体、大学、企業など多様な主体と連携した読書活動の推進 .国際交流ラウンジ等と連携し、多文化共生を進める読書活動の推進 4 読書活動推進を支えるボランティアの育成 身近な地域における読書活動を推進するため、図書館、市民利用施設等で活動する、読み聞かせ、朗読等ボランティアの育成・支援を行います。 取組項目 .読み聞かせ等ボランティアの育成・支援 .生涯学習・市民活動支援センターと連携したボランティアへの活動場所の紹介 .読書活動推進団体、ボランティア交流会等の実施 【コラム読書の多様な楽しみ方について】 読書には多様な楽しみ方が存在します。 市民アンケートで読書の多様な楽しみ方についての経験の有無を聞いたところ、「知人や家族と読んだ本について話す」の比率が最も高く(76.7%)、「おはなし会や朗読会に参加する」(27.4%)、「読書ノートや 読書管理アプリに記録する」(17.7%)との回答が続きました。 市民ワークショップでは、「誰かと一緒に読む」という行為は、普段馴染みのない分野や難易度の高い本を読むきっかけにもなるとの意見がありました。 また、読書ノートについて、ノートの活用、スマホのメモ機能の活用、PCでの記録など様々なやり方で読書ノートをつけている声が挙げられ、SNS(X)に読書記録を投稿し、色んな方と交流するという楽しみ方を実 践している方もいました。 「他の人との交流は、個々の読書生活を見直したり、広げたり、深めたりするために必要不可欠な過程(※)」とも言われています。本市では、複数の区が読書ノートを作成しており、ホームページからダウンロー ドすることもできます。多くの市民の皆様に、読書を様々な形で楽しんでいただけるよう、取組を進めてまいります。 ※参考文献杉本直美.読書生活をひらく「読書ノート」.全国学校図書館協議会,2013,53p 柱 3 一読書バリアフリーの推進 読書バリアフリーの推進 .施策の目標・方向性 視覚障害者等(視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について視覚による表現の認識が困難な方)の読書環境の整備に取り組みます。 .現状と課題 .バリアフリー図書の製作は、主に図書館等が養成した図書館協力者やボランティアが担っていますが、担い手の高齢化などの課題があり、製作人材の確保が必要です。製作人材の確保にあたっては、ボランティア のみに頼ることなく、様々な方策の検討が求められています。 .一人ひとりのニーズに応じた支援を行うためには、障害特性と障害者サービスの内容を理解し支援方法を習得することが重要です。また、人材育成の対象は、図書館司書、司書教諭、学校司書に加えて、視覚障害 者等と接する図書館や学校に関わる人たちにも広げる必要があります。 .視覚障害等により読書や図書館利用を諦めてしまっている人に対する働きかけも求められています。 .読書バリアフリーに関連する制度やサービスなどの各種支援情報は点在しているため、視覚障害者等が必要な情報にたどり着くまでに相当な時間を要し、十分に情報が行き渡っていない状況にありました。そこで、 令和5年度に、読書バリアフリーの情報を一元化したサイトを開設し、周知を行いました。引き続き、必要とする人に的確に届くための効果的な広報・啓発が必要です。また、図書館における活字資料での読書が困 難な人へのサービスの対象に新たに加わった、発達障害、肢体不自由の障害者等に情報が行き渡るよう配慮が必要です。 .本市では、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の購入や製作に引き続き取り組みます。 .主な取組 1 読書バリアフリーの基盤づくり 図書館、学校図書館でのバリアフリー図書、読書支援機器の拡充や、円滑な図書館利用のための合理的配慮を行います。 取組項目 .図書館、学校図書館における録音図書等や読書支援機器の購入 .図書館によるバリアフリー図書の学校図書館への貸出 .点訳・音訳奉仕員の育成 .視覚障害者等の読書環境整備に必要な用具の給付 .学校図書館に おける、児童生徒、教職員のニーズ等に応じた円滑な図書館利用のための支援 2 バリアフリー図書の製作 バリアフリー図書の製作にあたっては、図書館協力者やボランティアに加えて、民間事業者等との連携・協働等による製作に取り組みます。 取組項目 .バリアフリー図書の製作に向けた出版社や大学等への働きかけ .障害者就労施設等と連携した図書館におけるバリアフリー図書の製作 .バリアフリー図書(デイジー図書)製作人材の育成 3 視覚障害者等向けインターネットサービスの利用促進 全国の点字図書館、公共図書館で製作された視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が集約された「サピエ図書館」や「国立国会図書館」のインターネットサービスの利用支援に取り組みます。 取組項目 .インターネットサービスの操作方法、検索方法などに関する相談対応、講習などの支援 .学校における、司書教諭、学校司書などへの研修等を通じた、児童生徒のインターネットサービス利用支援 4 図書館職員、司書教諭、学校司書等の人材の育成 読書に困難のある方の一人ひとりのニーズに応じた支援を行うことができる図書館職員、司書教諭、学校司書等を育成します。 取組項目 .図書館における職員の人材育成のため、視覚障害者等との交流や読書支援機器の操作体験など、障害特性の理解促進や支援方法を学ぶための取組 .学校における、司書教諭や学校司書をはじめとした教職員に対す る研修や先進事例の共有、視覚障害者等との交流など、障害特性の理解促進や支援方法を学ぶための取組 5 効果的な広報・啓発戦略 読書バリアフリーに関する情報にアクセスしやすくするために、必要な人に情報が行き渡るように的確な広報を行います。また、障害の有無に関わらず市民が読書バリアフリーの理解を深め、助け合い・支え合いの 機運を醸成するために各種啓発活動を実施します。 取組項目 .支援情報を集約したホームページを活用した横断的な庁内支援体制の整備 .視覚障害者等が日頃よく利用する施設や機関などでの幅広い広報、視覚障害者等への情報提供に関する支援者への働きかけ .図書館、学 校での知識や情報を得る機会の充実 .身近な施設や地域イベント等での、バリアフリー図書を体験する機会の提供や読書バリアフリーへの市民理解の促進 .児童生徒同士の支え合いに関する理解の促進 ○子どもの読書活動の推進に関する法律(平成 13年 12月 12日法律第 154号) ―以下、一部抜粋― (地方公共団体の責務) 第4条地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (子ども読書活動推進基本計画) 第8条政府は、子どもの読書活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(以下「子ども読書活動推進基本計画」という。)を策定しなければなら ない。2政府は、子ども読書活動推進基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。3前項の規定は、子ども読書活動推進基本計画の変更について準用する。 (都道府県子ども読書活動推進計画等) 第9条都道府県は、子ども読書活動推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該都道府県における子どもの読書活動の推進に関する施策についての計 画(以下「都道府県子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。2市町村は、子ども読書活動推進基本計画(都道府県子ども読書活動推進計画が策定されているときは、子ども読書 活動推進基本計画及び都道府県子ども読書活動推進計画)を基本とするとともに、当該市町村における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該市町村における子どもの読書活動の推進に関する施策について の計画(以下「市町村子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならない。3都道府県又は市町村は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画を策定したときは 、これを公表しなければならない。4前項の規定は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画の変更について準用する。 ○横浜市民の読書活動の推進に関する条例(平成 25年6月5日条例第 31号)(目的) 第1条この条例は、市民の読書活動の推進に関し、基本理念を定めるとともに、横浜市(以下「市」という。)の責務並びに家庭、学校(市立の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校をいう。以下同じ。)及 び地域における取組等を定めることにより、市民の読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民一人一人の心豊かな生活及び活力ある社会の実現に資することを目的とする。 (基本理念) 第2条市は、読書活動が、言葉を学び、感性を磨き、表現力、創造力等を高め、又は豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付ける上で大切なものであることに鑑み、乳幼児期から高齢期まで、市民一人一 人が、豊かな文字・活字文化の恵沢を享受することができる環境を整備するよう、全力を挙げて市民の読書活動を推進しなければならない。 (市の責務) 第3条市は、前条に定める基本理念にのっとり、市民の読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。2市は、前項の施策を実施するに当たっては、区の地域性に応じて、読書活動の推進を図 るための目標を定めるものとする。 (家庭における取組) 第4条家庭における読書活動は、本の感想を話し合うなど、読書の楽しさを共有することにより、読書活動がより身近に感じられるよう努めるものとする。 (学校における取組) 第5条学校は、それぞれの学校の特性並びに児童及び生徒の発達段階に応じ、読書活動の推進に関する計画を策定し、当該計画に基づき、学校図書館を中核として児童及び生徒の読書活動の推進に努めなければなら ない。 (地域における取組等) 第6条地域における読書活動は、学校、市立図書館、地区センター、コミュニティハウスその他の読書活動に関係する施設又はボランティア活動を行う団体と連携し、日常的な読書活動の推進に資するよう努めるも のとする。2市は、市立図書館がその使命を全うするため、蔵書の充実その他運営の改善及び向上等に寄与する 措置を講ずるものとする。3市は、民間団体及び事業者に対し、市が実施する市民の読書活動の推進に関する施策又は家庭、学校若しくは地域における読書活動に関する取組に協力するよう要請するものとする。 (他の計画等との整合性の確保) 第7条市が実施する市民の読書活動の推進に関する施策及び目標並びに家庭、学校及び地域における読書活動に関する取組等については、子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第 154号)その他の 法令に基づく読書活動に関する計画等との整合性の確保を図るものとする。 (市民の読書の日等) 第8条読書活動に関する市民の関心及び理解を深めるとともに、市民が積極的に読書活動に取り組む意欲を高めるため、毎月23日を市民の読書の日とし、毎年11月を市民の読書活動推進月間とする。 (財政上の措置等) 第9条市は、市民の読書活動の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。 (委任) 第 10条この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が定める。附則この条例は、平成26年4月1日から施行する。 ○視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年6月 28日法律第 49号) ―以下、一部抜粋―第一章総則 (目的) 第1条この法律は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関す る施策の基本となる事項を定めること等により、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化(文字・活字文化振興 法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条この法律において「視覚障害者等」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。 2この法律において「視覚障害者等が利用しやすい書籍」とは、点字図書、拡大図書その他の視覚障害者等がその内容を容易に認識することができる書籍をいう。3この法律において「視覚障害者等が利用しやすい 電子書籍等」とは、電子書籍その他の書籍に相当する文字、音声、点字等の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第十一条第二項及び 第十二条第二項において同じ。)であって、電子計算機等を利用して視覚障害者等がその内容を容易に認識することができるものをいう。 (基本理念) 第3条視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。1視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有す ることに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい 書籍が提供されること。2視覚障害者等が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。3視覚障 害者等の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。 (地方公共団体の責務) 第5条地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。 第二章基本計画等 (地方公共団体の計画) 第8条地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよ う努めなければならない。2地方公共団体は、前項の計画を定めようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3地方公共団体は、第一項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。4前二項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。第三章基本的施策 (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等) 第9条国及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも 連携して、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必 要な施策を講ずるものとする。2国及び地方公共団体は、点字図書館について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他 の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化) 第 10条国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必 要な施策を講ずるものとする。一点字図書館等から著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第二項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍 等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等 に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援二視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、公立図書 館等、点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化 (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援) 第 11条国及び地方公共団体は、著作権法第三十七条第一項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため、製作 に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援) 第 14条国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。 (情報通信技術の習得支援) 第 15条国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必 要な施策を講ずるものとする。 (人材の育成等) 第 17条国及び地方公共団体は、特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等、国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、 資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 ―以下、一部抜粋―(提言の全文は本市のホームページをご覧ください。) https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/hokokusho/shakaikyoiku/shakaikyoiku.html 提言横浜市における視覚障害者等の読書環境の整備状況や読書バリアフリー法の基本理念に関連する取組の実 施状況を踏まえ、従来からの取組を今後も継続的に実施するものなどを「基本的な取組」とします。この「基 本的な取組」を基盤とした上で、特に重点的に推進していくものを「重点取組」として位置付けます。 (1)基本的な取組ア視覚障害者等が利用しやすい書籍等及び読書支援機器の拡充・市立図書館および学校図書館において、視覚障害者等が利用しやすい書籍等や読書支援機器を拡充すること。・市立図書館が所蔵 する視覚障害者等が利用しやすい書籍等について、学校図書館への貸出を行うこと。・市立図書館および健康福祉局において、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作人材を育成すること。(音声デイジーの製作 等を行う図書館協力者に対するスキル向上のための研修、点訳・音訳奉仕員の養成)イ視覚障害者等が利用しやすい書籍等を誰もが利用できる環境づくり(著作権法第 37条により製作される書籍等は、同法により 利用対象が「視覚障害者等」に限定される。)・市立図書館において、活字資料での読書が困難な人へのサービスの対象を発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について視覚による表現の認識が困難を伴 う「視覚障害者等」に拡大したことについて、周知を行うこと。・一般利用が可能な視覚障害者等が利用しやすい書籍等について、障害の有無に関わらず誰もが利用できる事に関して周知を行うこと。・障害福祉サ ービス(日常生活用具給付等事業)として、デイジー再生機器など視覚障害者等の読書環境の整備に必要な用具の給付を行うこと。ウ円滑な図書館利用のための合理的配慮・市立図書館において、レファレンスサー ビスで回答した資料のプレーンテキストでの提供や、蔵書検索の使い方の相談など、視覚障害者等へのサービスを充実すること。・市立図書館の施設整備や改修にあたっては、来館時や施設内での移動のしやすさ、 トイレなどの設備やわかりやすいサインの設置など、視覚障害者等の円滑な利用に留意すること。・学校図書館において、児童生徒、教職員のニーズ等に応じた円滑な図書館利用のための支援を行うこと。 (2)重点取組について横浜市の特徴や、インクルーシブ教育などの視点を踏まえて、多様な主体との連携・協働を推進しながら、4つの重点取組を行うものとします。 《重点取組1》連携・協働による視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作 【背景(必要性)】・視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作は、主に市立図書館等が養成した図書館協力者やボランティアが担っていますが、担い手の高齢化などの課題があり、製作人材の確保が必要です。 ・製作人材の確保にあたっては、ボランティアのみに頼ることなく、様々な方策の検討が求められています。 【施策】民間事業者等と連携した視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作・視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作工程の分担など、出版社や大学等へ連携の働きかけを行うこと。・市立図書館が実施している テキストデイジーの製作においては、障害者就労施設等と連携を進めて迅速な提供に取り組むこと。 《重点取組2》インターネットサービスの利用促進 【背景(必要性)】・人口規模の大きい横浜市においては、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の購入や製作に取り組むとともに、全国の点字図書館、公共図書館で製作された視覚障害者等が利用しやすい電子 書籍等が集約された「サピエ図書館」や「国立国会図書館」のインターネットサービスの利用を促進することが有効です。・インターネットサービスの利用促進にあたっては、視覚障害者等のデジタルデバイド(情 報格差)の解消が必要です。 ・「横浜市におけるGIGAスクール構想」に基づき、市立学校において、1人1台端末が整備されており、ICT支援員も各校へ派遣されていることから、学校におけるインターネットサービスの活用が期待され ています。 【施策】 1「サピエ図書館」「国立国会図書館」のインターネットサービスの利用支援の充実市立図書館や健康福祉局等において、サピエ図書館や国立国会図書館のインターネットサービスの操作方法や検索方法に関する相 談対応、講習などの支援を行うこと。 2学校におけるインターネットサービス利用支援の充実司書教諭、学校司書などへの研修等を通じて、視覚障害等のある児童生徒が、サピエ図書館や国立国会図書館のインターネットサービスを円滑に利用するため の、支援を充実すること。 《重点取組3》図書館職員、司書教諭、学校司書等の人材育成 【背景(必要性)】・一人ひとりのニーズに応じた支援を行うためには、障害特性や障害者サービスの内容を理解し支援方法を習得することが重要です。また、人材育成の対象は、図書館司書、司書教諭、学校司書 に加えて、視覚障害者等と接する市立図書館や学校に関わる人たちにも広げる必要があります。 【施策】 1市立図書館における職員の人材育成市立図書館の職員に対して、視覚障害者等との交流や読書支援機器の操作体験など、障害特性の理解促進や支援方法を学ぶための取組を実施すること。 2学校における司書教諭、学校司書等の人材育成司書教諭や学校司書をはじめとした教職員に対して、市立図書館等との連携による研修や先進事例の共有、視覚障害者等との交流など、障害特性の理解促進や支援方 法を学ぶための取組を実施すること。 《重点取組4》効果的な広報・啓発戦略 【背景(必要性)】・読書バリアフリーに関連する制度やサービスなどの各種支援情報は点在しているため、視覚障害者等が重要な情報にたどり着くまでに相当な時間を要し、十分に情報が行き渡っていない状況に あります。必要とする人に的確に届くための効果的な広報・啓発が必要です。・特に、市立図書館における活字資料での読書が困難な人へのサービスの対象に新たに加わった、発達障害、肢体不自由の障害者等に情 報が行き渡るよう配慮が必要です。・発達障害など気づきにくい障害のある人は、視覚による表現の認識が困難な障害特性があることについて、本人も認識できていない場合があります。このため、障害の有無に関 わらず、幅広く広報・啓発を行うことが求められます。 ・視覚障害等により読書や図書館利用を諦めてしまっている人に対する働きかけも求められています。 【施策】 1各種支援情報の一元化・見える化・市の読書バリアフリーに関する事業や支援の情報を一か所に集約したホームページを作成すること。・ホームページを活用した横断的な庁内支援体制を整備すること。2「誰一 人取り残さない」ための情報発信 ・視覚障害者等が支援情報に気づく機会を拡充するため、区役所や地域療育センター、医療機関等の日頃よく利用する施設や機関などでの幅広い広報を実施すること。また、障害者団体や相談支援専門員、ヘルパー 、ボランティア等の支援者などに対する各種支援情報の周知を行い、支援者を通じて視覚障害者等へ情報が提供されるよう働きかけを行うこと。 ・市立図書館において、視覚障害者等が利用しやすい書籍等や各種支援情報を紹介するコーナーを通じた周知など、障害の有無に関わらず誰もが知識や情報を得ることのできる機会を充実すること。学校においても 、障害の有無に関わらず、児童生徒が必要な情報や知識を得られるきっかけや体験する機会を充実すること。 ・視覚障害等により読書や図書館利用を諦めてしまっている人に対する働きかけとして、学校や図書館以外の身近な施設や地域イベントなどで、視覚障害者等が利用しやすい書籍等を知るきっかけや体験する機会を 提供すること。 3地域共生社会の実現に向けた読書バリアフリーへの理解促進・市立図書館をはじめとした身近な施設等において、視覚障害者等が利用しやすい書籍等を知るきっかけや体験する機会、視覚障害者等との交流の場、 学び合いの場をつくるなど、様々な機会を捉えた読書バリアフリーへの市民の理解を促進すること。・障害の有無に関わらず、児童生徒に対する、読めない・読みにくい状態を補う方法を周知し、児童生徒同士の支 え合いに関する理解を促進すること。 令和6年度 市民アンケート( 2,856人) P.51に市民アンケートの実施概要を載せています。実施結果は本市のホームページをご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/sanjikeikaku.html 市民ワークショップ( 46人) P.52に市民ワークショップの概要を載せています。実施結果は本市のホームページをご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/sanjikeikaku.html 第 34期社会教育委員会議会議の詳細は本市のホームページをご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/hokokusho/shakaikyoiku/shakaikyoiku.html (1)調査目的 市民の意見を踏まえた「第三次横浜市民読書活動推進計画」(計画期間:令和 6〜10年度)を策定するため、市内在住・在勤・在学の方を対象としたアンケートを実施し、年間の読書量、本を読むきっかけ等の調査 ・分析を行いました。 (2)調査手法 Webアンケート調査(横浜市電子申請・届出システム) (3)調査期間令和6年7月1日(月)から8月3日(土) (4)調査対象者【小・中・高校生向けアンケート】市内在住・在学の小学校5年生から高校生までの方【一般市民向けアンケート】市内在住・在勤・在学の 18歳以上(高校生を除く)の方 (5)回答数【小・中・高校生向けアンケート】 437人【一般市民向けアンケート】 2,419人 (6)実施結果本市のホームページをご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/sanjikeikaku.html (1)開催目的・市民の皆様から、より効果的な施策につながる意見を伺うことを目的に開催しました。・本ワークショップでは、対象者の読書の状況、読書環境、今後の希望を把握すると共に、「読書を広げるに は?」というアイデアを直接お伺いするだけでなく、参加者自身の読書体験をふりかえり、話し合うことを通して読書のきっかけや効果などについての考えを深めた上で、読書活動を活性化するアイデアを出す話し 合いを行いました。・読書習慣を形成するのに大切な小中高生の意見を聞く「小学校5年生〜高校生対象」と「 18歳以上(高校生を除く)対象」の回を開催し、より多様な視点で活発な意見交換ができるように開 催しました。・ワークショップを通して、市民にとっての読書に対する考え方だけでなく、読書体験の前後の行動や心の動きへの理解を深め、より市民生活の実態に即した読書活動推進のヒントとなる意見を把握し 、施策検討へ活かすことにしました。 (2)実施日時等 実施予定日時 参加者数 実施予定会場 7月 28日 (日) 【小学校5年生〜高校生対象回】 10:00〜11:30 8名 戸塚地区センター会議室A 【18歳以上(高校生を除く)対象回】 14:00〜16:00 18名 8月3日 (土) 【小学校5年生〜高校生対象回】 10:00〜11:30 4名 中川西地区センター会議室1 【18歳以上(高校生を除く)対象回】 14:00〜16:00 16名 (3)テーマ 対象者 テーマ 小学校5年生から高校生 みんなが本を読みたくなるにはどんなしかけやイベントがあると、より本を楽しく読めるようになりますか? @子どもたちが本を楽しく読めるようになるには? 18歳以上(高校生を除く) A本を介した交流や企画、どんなイベントがあると本を読むきっかけになりますか? (4)プログラム 第1部横浜市より、ワークショップ開催趣旨とこれまでの読書推進の取組の紹介第2部意見交換1.自己紹介+心に残る本(小中高生向け:今のお気に入りの本、大人向け:自分にとっての思い出の本)2.読書の 参加者自身の現状と地域の現状認識について(読書の状況、読書の方法、読書に関わる活動への参加)3.参加者にとっての大切な本に関するエピソードについて(参加者それぞれの具体的な読書体験を共有し、そ れを基に「読書のきっかけ」「読書の効果」について意見交換を行った)4.読書推進の市の施策のアイデア、提案の募集(読書の現状と読書のきっかけ・効果について話し合ったことを踏まえて、今後の市の読書 推進活動へのアイデア、提案を集める) (5)実施結果本市のホームページをご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo- manabi/shogaigakushu/sonota/bokku/shimindokusho/sanjikeikaku.html 資料4 4つの基本姿勢 デジタル社会に対応した読書環境の整備の推進(新規) 年齢や、障害の有無、国籍等に関わらず 活字を楽しめる環境づくりに向けて、デジタルを活用した読書環境を充実させ、紙媒体だけでなく電子書籍等を柔軟に選択することができるよう取り組みます。